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エノコログサ/えのころぐさ

Green bristle-grass

イヌコログサ,画像
「いぬころぐさ」や「猫じゃらし」ともいう
いぬころぐさ,えのころぐさ
葉の様子
えのころぐさ,植物
秋の様子
イヌコログサ,いぬころぐさ
江戸時代までこれを食糧とした
ねこじゃらし,草
種子は黒褐色に熟す
タネ,たね
エノコログサの種子
猫じゃらしの草,名前
一年草であり、晩秋には朽ちる

【エノコログサとは】

・ユーラシア大陸を原産とするイネ科エノコログサ属の一年草。農耕の伝来と共に日本へ渡来したと考えられているが、今日では北海道から沖縄まで至るころに分布している。路傍や空き地など人の手が入りやすく、かつ乾燥した場所に多い。

 

・エノコログサという名前の由来には諸説あるが、7月頃から見られる穂が子犬の尻尾に似ていることによるとする説が根強い。漢字表記は「犬子草」あるいは「狗尾草」。

 

・エノコログサの穂で猫をからかうと、猫が夢中になってじゃれることから、別名をネコジャラシというが、これは元々、関東地方の方言であった。猫に限らず、かつての子供たちにも人気であり、穂を毛虫やヒゲなどに見立てて遊びに使う。最も身近な一年草の一つであり、地方によって様々な呼び名がある。

 

・茎は根元から分岐して細長く伸びるが、節が曲がるとそこから新たに茎を分岐させるという特徴を持つ。葉は茎から互い違いに生じる薄い線状で無毛。長さは2~5センチほどになる。一年草で5月頃から目立つようになるが、毎年同じ場所に生じやすい。

 

・花期は品種によって7~11月。茎の先端に咲く花は毛に覆われた緑色の円柱状で、小さなが穂が集合してできている。花穂全体の長さは2~5センチほどで直立するが、品種によっては垂れ下がる。花にはそれほどの観賞価値はないが、生け花の世界では季節感や田園の風情を演出するために用いることも。

 

・秋にできる果実を、おままごとの御飯にするのを見るが、エノコログサは雑穀のアワの原種であり、江戸時代には粥や飯として利用していた。果穂は炙ると香ばしい。

粟,穀物
五穀の一つであるアワ(粟)の野生種は、エノコログサを原種とする

【エノコログサの品種】

・ムラサキエノコロ

 穂の毛が赤紫色になるもの。

 

・キンエノコログサ

 エノコログサと同じような場所に見られる仲間で、穂の剛毛が黄金色あるいは褐色になることにちなんで名付けられた。茎の分岐がより少なく、背丈はより高くなる。

 

・ハマエノコログサ

 海岸沿いに見られる仲間で、背丈が小さいこと、花穂の先端が垂れ下がらないことが特徴。

 

・アキノエノコロ

 大型の品種で、穂の出る時期がエノコログサよりも遅く、果実の皮が短いため種子の上部が剝き出しになる。都会ではエノコログサよりも個体数が多いとされ、夏以降、急速に目立つようになる。葉の表面に伏した毛があり、花穂は弓状に湾曲するのもエノコログサとの違い。

 

・オオエノコロ 

 アワとエノコログサの雑種で、穂の先端が細くなること、枝の分岐や花穂が多いことなどを特徴とする。  

エノコログサの基本データ

 

【分 類】イネ科/エノコログサ属

     一年草

【漢 字】犬子草/狗尾草 

【別 名】ネコジャラシ

【学 名】Setaria viridis

【英 名】Green bristle-grass

【開花期】4~5月

【花の色】緑色、紫色、黄色(品種による)

【草 丈】~70cm 

 

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