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クサノオウ/くさのおう/瘡の王・草の黄

Swallow wort

クサノオウ,植物
草丈は30~80センチで初夏に黄色い花が咲く
草の王,葉っぱ
葉は茎から互い違いに生じ、羽根状になる
草の黄,野草,薬草
株全体に毛があるが、葉の裏面は特に多い
くさのおう,植物,がく
蕾には緑色の萼があるが、開花と同時に落下(散萼)する
Swallow wort
開花期の様子
たむしぐさ,花
クサノオウの花にはキタヒメヒラタアブなどの虫が寄る 
くさのおう,花
半日陰地でも開花する黄色い花はよく目立つ
クサノオウ,種子
果実は細長い豆のよう
草の王,植物
遠目から見ると全体に白っぽい

【クサノオウとは】

・北海道から九州の広い範囲に分布するケシ科の越年草(二年草)。草としては大きめの鮮やかな黄色い花がよく目立ち、一見すると外来種のようだが在来種。林の縁や草地のみならず、道端や荒れ地、石垣の隙間などでも普通に見られる。日本以外でもアジアの温帯地方に広く自生。

 

・茎や葉をちぎると黄色~オレンジの乳液が生じ、これを古くから皮膚炎の治療に用いた。薬草として優れているため「草の王」となったという説が馴染みやすいが、クサは「草」ではなく、「瘡(くさ=皮膚が炎症を起こした状態)」を意味するというのが定説。また、乳液の色にちなんだ「草の黄」とする説もある。

 

・乳液にはケリドニンなど20種類以上のアルカロイドを含み、鎮痛作用があるとして 胃痛や腹痛に、さらには胃癌に効くと噂されて飲用されたこともあったが、食用すると胃腸がただれ、嘔吐や下痢、身体の痺れを引き起こす。大量に摂取すると昏睡、そして呼吸麻痺から死に至ることもあり、実際に人や家畜の死亡例があるという。

 

・クサノオウの開花は5~6月。葉の脇から伸びた花茎に直径2~3センチほどの黄色い四弁花が数輪ずつ、時間をかけて次々と咲いていく咲く。英名のswallow wort、学名のChelidonium majus var. asiaticumは共に、燕が来る初夏に咲き始めることに由来するが、環境によっては秋まで開花することもある。

 

・花の後にできる果実は長さ3~4センチの細長い棒状で、画像のように直立するのが特徴。果実は熟すと自然に二つに裂け、直径1ミリほどの黒い種子が飛び出す。半球形の種子にはカタバミと同じようなエライオソームというゼリー状のものが付随し、これによってアリを誘引、運搬されることで繁殖する。 

 

・葉はヨモギのような羽根状で、縁には不規則な切れ込みがある。両面とも毛があるが、特に裏面は白っぽく見える。茎は中空で柔らかく、これにも多数の白い縮毛があるため株全体が白っぽく、雰囲気は同じケシ科のタケニグサに似る。 

 

・別名はタムシクサ、イボクサ、チドメクサ、ヒゼングサ(皮癬草) などで、いずれも皮膚病の治療薬になることに由来。生薬名を「白屈菜(はっくつさい)」といい、イボ取り、虫刺され、疥癬、タムシなどの白癬に外用する。

 

・湿疹には春から夏に採取した全草を日干、乾燥させたものを用い、煎汁あるいは焼酎に漬け込んだものを患部に塗布する。イボ取りには生汁を直接塗布する方法があるが、肌に触れるとかぶれる人もいるため、不用意に使用するのは避けた方がよい。

 

【クサノオウに似ている植物】

 ヤマブキソウ タケニグサ ケマン

クサノオウの基本データ

 

【分 類】ケシ科/クサノオウ

     越年草(二年草)

【漢 字】草の王(くさのおう)

【別 名】タムシクサ/イボクサ

     チドメクサ/ヒゼングサ(皮癬草)

【学 名】Chelidonium majus

     var. asiaticumは

【英 名】Swallow wort

【開花期】4~6月(地域によっては11月まで)

【花の色】黄色

【草 丈】~80cm