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キンラン/きんらん/金蘭
Kinn-rann(Golden orchid)
【キンランとは】
・本州、四国及び九州に分布するラン科の多年草。山野の明るい林内に見られる在来種で、4~6月に咲く鮮やかな黄色い花にちなんでキンラン(金蘭)と名付けられた。日本以外にも朝鮮半島や中国に自生する。
・開花は木々の若葉がようやく出揃った頃(4~6月)。直径1センチほどの花は全開せずに丸みを帯びることが多く、3~12輪がまとまって咲く様は鈴のように見える。
・花の外側は卵形をした花弁と萼片で構成されるが、内側は唇形で先端が浅く三つに裂け、両側の裂片は雄しべと雌しべが合着した「ずい柱」を抱き、真ん中の裂片には隆起したオレンジ色の縞模様がある。学名Cephalanthera falcataは「鎌型をした大きな葯」を意味し、この隆起部に由来すると思われる。
・葉は真っすぐに伸びた茎を抱くよう、左右互い違いに5~8枚生じる。先端の尖った長楕円形で、縦縞状になる平行脈(葉脈)が目立ち、柔らかな観葉植物のような質感を持つ。茎は平滑で無毛。
・根茎は短く、マツ科やブナ科の樹木の根に寄生する菌類が作り出す養分を吸収して育つ。このため適度に管理された雑木林のない場所では育つのが難しく、現代では絶滅が危惧されている。
【開花時期】
・4月~6月
【花の色など】
・黄色
【背丈】
・30~80cm
【キンランに似た植物】
ギンラン
キンランと同じような場所に生え、やや遅れて白い花を咲かせる。草丈は最大30センチほどで、キンランよりも小さく、花はキンランよりオ尖ったように見える。白い花が咲くシロバナキンランもある。