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クロバイ/くろばい/黒灰

Kurobai tree

くろばいの木,花
クロバイの花には甘い香りがある

 

【クロバイとは】

・関東地方南部(静岡県)より西の温暖な山地に自生するハイノキの仲間。灰を染色に使う実用の樹木だが、西日本では稀に庭木とし、地方によっては本種をハイノキと呼ぶ。日本以外でも韓国の済州島に分布。

くろばい,葉っぱ
クロバイの葉
くろばい,樹木,クロバイ
葉は密生し、鬱蒼とする

 

・クロバイの葉は枝から互い違いに生じ、先の尖った楕円形になる。長さ5~8センチほどの革質で、葉の縁は波打ったようになり、細かなギザギザがまばらにできる。

 

・葉の表面には光沢があるが、ハイノキに比べると色が暗く、葉の数も多いため黒々となり、これを名前の由来とする説もある。

くろばい,樹木
自生地では、葉を覆い尽くすほどの花が咲く 
くろばいの木の花
クロバイの花

 

・クロバイの開花は新芽が伸び始める4~5月頃。前年に伸びた枝の葉の脇から長い花序を出し、小さな白い花を10~30輪単位で咲かせる。

 

・花の直径は8ミリほどで、突き出した多数の雄しべに隠れるよう5枚の花弁がある。花はハイノキよりもバクチノキイヌザクラウワミズザクラなどバラ科の樹木に似る。

 

・花の後にできる果実は長さ6ミリほどの細長い卵形で、11月頃になると黒く熟す。名前の由来は「黒梅」ではなく「黒灰」であり、果実の形状はウメのそれとは異なる。

くろばい,クロバイ,果実
花の後には実ができ、秋には黒く熟す

 

・クロバイの樹皮は灰黒で、木が若いうちは小さな点々(皮目)があるが、樹齢を重ねると縦に浅い裂け目が入る。材を焼いて灰汁を作り、染色の際にこれを媒染剤とし、色落ちを防ぐために用いる。

黒灰,植木,くろばい
クロバイの材を燃やした灰は、媒染剤に使う

【クロバイの育て方のポイント】

・丈夫な性質を持ち、土質を選ばずに育つ。

 

・暖かくて湿気のある場所を好み、乾燥地では育ちにくい。

 

・葉が密生して鬱蒼としやすいが、剪定に耐えるため、手入れによって管理できる。

 

【クロバイに似ている木】

ハイノキクロキ、シロバイ、ミミズバイ

クロバイの基本データ

 

【分類】ハイノキ科/ハイノキ属

    常緑広葉/小高木

【漢字】黒灰(くろばい)

【別名】トチシバ/ソメシバ/ハイノキ

【学名】Symplocos prunifolia

    Sieb. et Zucc.

【英名】Kurobai tree

【成長】やや早い

【移植】簡単

【高さ】5m~12m

【用途】雑木の庭/染色用

【値段】(庭木としての流通は稀)

 

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