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バクチノキ/ばくちのき/博打木

Cherry laurel

ばくちのき,ビランジュ,幹
「博打に負けて、ハダカになった」ことに例えられる樹皮
ばくちのき
新芽の様子
ばくちのき,バクチノキ,葉っぱ
新葉の様子
ビランジュ 葉っぱ
葉は大きく、光沢がある
バクチノキ,葉,特徴,ばくちのき
葉の裏側は白っぽい
つぼみ,画像
バクチノキの蕾
博打の木の花,ばくちのき
蕾と花の様子
ばくちのき,博打の木のはな
バクチノキの花
バクチノキ,ばくちのき,実
果実は長さ2センチほどで花の翌春に熟す
ビランジュ 樹形 バクチノキ
高さは20m近くにまで育つ
越冬,ばくちのき
裸のため?寒さに弱く、北関東以北では防寒対策が必要

【バクチノキとは】

・関東地方南部以西の本州、四国、九州及び沖縄に分布するバラ科の常緑樹。樹齢と共に樹皮が剥離する木肌の様子を、博打に負け続けて金を払えず、着物を脱がされ続けることにたとえ、バクチノキと呼ばれる。日本以外では台湾に分布。

 

・暖地の沿海地や山間の谷筋などに自生し、元来は庭木として使われることは少なかったが、江戸時代に博徒の信仰の対象となったことなどを契機として、庭園にも植栽されるようになった。

 

・バクチノキの開花は9~10月。その年に伸びた枝葉の脇に長さ3センチほどの花序を出し、白い小花を房状に密生さる。花は直径6~7ミリで下から順に咲き上がり、イヌザクラと同じように花序に葉はない。花の中央には雌しべが一つあり、30を超える多数の雄しべは花弁の外へ突き出る。花弁と萼は5枚。

 

・花の後には直径2センチほどの果実ができる。でき始めの果実は緑色だが、やがて紅紫から黒紫となり、開花翌年の5月頃に熟す。未熟な果実は歪んだ卵形だが、熟す頃には楕円形。中には種子が二粒入っており、これを蒔けば発芽する。

 

・葉は長さ10~20センチの長楕円形で枝から互い違いに生じ、縁には鋭いギザギザがある。表面は濃緑色で裏面は淡い緑色。先端は尖り、基部はクサビ形になる。

 

・バクチノキの葉には青酸を含む杏仁水(バクチ水)が含まれており、咳止めや鎮痛剤に使われる。葉柄の上部には一対の「密腺」という小さな穴があり、杏仁水はここから採取できる。

 

・幹の直径は最大60センチほど。材木として流通することはほぼないが、家具、器具、薪炭に使われる。樹皮は灰褐色だが樹齢を重ねると鱗状に剥離し続ける。剥がれたばかりの木肌は白っぽいが、後にオレンジ色になり、独特な斑模様を描く。樹皮は香りがあり、染料(黄色)にもなる。

 

・各地にバクチノキの名木があるが、神奈川県小田原市早川字飛乱地には国の天然記念物に指定される名木がある。ビランジュという別名の由来には、この地名にちなんだという説、インドの「毘蘭樹」と混同したという説、木肌を糜爛(びらん)という皮膚病に擬えたという説がある。中国にも「糜爛樹」があるが、これはヤマグルマを意味する。

 

【バクチノキの育て方のポイント】

・半日陰でも生育できるが、基本的には日照を好む。

 

・湿潤な地を好み、乾燥には弱い。

 

・寒さに弱いため、北関東以北では地植えできない。 

 

・刈り込みに強く、枝葉が密生するため垣根に使われるが、背丈が高くなり過ぎるため、近縁のセイヨウバクチノキの方が人気が高い。 

 

・風通しの悪い場所では、カイガラムシ及びスス病の被害にあう。

 

【バクチノキに似ている木】

性質や花が似る木

 セイヨウバクチノキ  ウワミズザクラ

 イヌザクラ リンボク シウリザクラ

 

樹皮が似る木

 サルスベリ ヒメシャラ

 リョウブ ナギ カゴノキ

 

【バクチノキとセイヨウバクチノキ】

・セイヨウバクチノキの葉は以下のとおり。より肉厚で光沢があり、あまり似ていない。

 

・バクチノキの花は9月に、セイヨウバクチノキの花は4月に咲く。

 

・バクチノキは成長に伴い樹皮が剥げ落ちるが、セイヨウバクチノキの樹皮は剥離しない。 

 

・バクチノキは単幹で育つことが多いが、セイヨウバクチノキは株立ち状に育つことが多い。  

見分け方のポイント
セイヨウバクチノキの葉

バクチノキの基本データ

 

【分類】バラ科/バクチノキ属 

     常緑広葉/高木

【漢字】博打木(ばくちのき)       

【別名】ビランジュ/ビラン

    ハダカノキ

【学名】Prunus zippeliana Miq.

【英名】Cherry laurel

【成長】やや早い

【移植】やや難しい

【高さ】12m~20

【用途】垣根/公園

 

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