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ガジュマル/がじゅまる/榕樹

Indian Laurel 

がじゅまるの木
ガジュマルは特徴的な「気根」を生じる

 

【ガジュマルとは】

・種子島以南の東南アジア、オーストラリア及びインドに分布するイチジクの仲間。自生は亜熱帯の海辺に近い丘陵で、幹や枝から垂れ下がる「気根」が複雑に絡み合って独自の樹形となり、ジャングルの景色を作り出すことで知られる。

 

・「ガジュマル」は沖縄の方言だが語源は不明。同地では本州などの神社にあたる「御嶽(うたき)」にガジュマルが多く、老木には妖怪キジムナーが棲むという伝説がある。また、本種は他の木に絡まって育つが、絡まれた木は成長を阻害されて枯れることがあるため「締め殺しの木」とも呼ばれる。

ガジマルの葉っぱ,がじゅまる
ガジュマルの葉

 

・ガジュマルの葉は枝から互い違いに生じ、成葉では長さ4~10センチ、幅4~6センチほどになる。縁にギザギザのない楕円形で、葉の先端は突き出すが、よく見ると丸まっている。

 

・葉は常緑樹らしい皮質で、表面には光沢があり、裏面は中心部を通る葉脈が盛り上がっている。若葉は「苞」に包まれるが、自然に脱落し、枝には輪のような節模様が見られる。

ガジュマルの葉っぱ,がじゅまる
葉の裏面の様子

 

・気根が垂れ下がる姿がガジュマルの一般的なイメージだが、それは古木になってからのことで、海辺にある若い木は、草のように地面を這う。なお、気根は地面に接すると根を生じるとともに、支柱となって木を支え、茎や幹へと変わる。

 

・ガジュマルは雌雄同株で、イチジクやイヌビワの仲間と同じように外から見えない花を咲かせる。花期は不定で温室ではほぼ一年中花ができるが、屋外での開花は5月~8月頃。

 

・花は花嚢と呼ばれる直径7ミリほどの球形で、葉の脇に1~2個ずつできる。内部には雌雄の花に加え、虫えい花があり、外からここに入ったイチジクコバチが産卵、孵化することで受粉が促されると果嚢(=果実)となり、熟すと黄褐色を帯びた淡い紅色から黒紫色になる。

 

・ガジュマルの果実が熟すのは冬から春で、その時期には地域差や個体差がある。果実に特段の味はないが、カラス、ツグミ、ムクドリ、ヒヨドリ、シロガシラなどの野鳥はこれを採食する。

 

・幹は最大で直径1mほどになるが、その材は割れやすく、虫も付きやすいため材木として重要視されることはない。ただし、柔らかくて加工しやすいため、盆などの器具材に使われ、沖縄では琉球漆器の下地となる。また、樹皮や気根の皮を乾燥させたものは生薬名を榕樹(ようじゅ)といい、煎じて服用すれば腹痛に効果があるとされる。

Indian Laurel,がじゅまる
ガジュマルの枝
がじゅまる,樹木,ガジュマル
樹高は最大で25mほどになる

【ガジュマルの育て方のポイント】

・高温多湿と強い日差しを好み、最低気温が5~7℃を上回る地方でなければ越冬できない。自生地以外での地植えは難しく、観葉植物として鉢植えにし、室内で観賞するのが基本となるが、その場合はカイガラムシやアブラムシの発生に注意する必要がある。

 

・枝葉が密生しやすく、潮風に耐えるため、自生地付近では防風林、防潮林あるいは目隠し用の生垣として使うことができる。ただし、葉の大小、萌芽力に個体差が大きく、樹皮の色や葉の厚さ、気根の出方や、その長短もそれぞれとなる。 

 

【ガジュマルの品種】

・ニンジンガジュマル

 人為的に根を土から露出させたガジュマルの上に、別のガジュマルを接ぎ木して作ったもの。コンパクトながらもジャングル的な雰囲気が出るため、観葉植物として好まれる。

 

・マルバガジュマル

 画像のとおり葉が丸みを帯びる品種で、観葉植物として流通している。枝は匍匐性で、地を這うように伸びる。

丸葉がじゅまる
マルバガジュマル

 

【ガジュマルに似ている木】

アコウ

 ガジュマルよりも大きな葉を持ち、より寒冷な地でも育つ。漢字表記はガジュマルと同じ「榕樹」

 

インドボダイジュ 

 

・インドゴムノキ

ガジュマルの基本データ 

 

【分類】クワ科/イチジク属

     常緑広葉/小高木

【成長】やや早い 

【漢字】榕樹(がじゅまる)  

【別名】ガジマル/ガズマル

    ヨウジュ

    タイワンマツ/トリマツ(鳥松)

【学名】Ficus microcarpa    

【英名】Indian Laurel

【移植】難しい 

【高さ】10~25m 

【用途】街路樹/防風林/防潮林

    公園/生垣

【値段】1,000円~

 

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