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シュウカイドウ/しゅうかいどう/秋海棠
【シュウカイドウとは】
・ヒマラヤからマレーシアにかけた地域に分布するベゴニアの仲間。シュウカイドウ科の多年草で、秋に咲く花の色合いがカイドウ(海棠)に似るため、シュウカイドウ(秋海棠)と名付けられた。
・日本へ渡来したのは江戸の寛永年間。日陰の湿地を好むため、庭園の下草などとして広く普及し、野生化したものが本州以南の人家周辺に見られるが、栃木県では渓流沿いにも繁殖している。
・シュウカイドウの開花は8~10月で、品種によって淡い紅色あるいは白の花が咲く。花には雌雄があるが、黄色い雄しべを抱えるより派手な花が雄花で、雌花はその陰で地味に咲く。花の様子が仏像などを飾る瓔珞(ようらく)に似るとして、ヨウラクソウという別名がある。
・雌花の後にできる果実(蒴果)には3枚の翼があり、うち一つは特に大きい。果実の中には微粒の種子が入っており、これが拡散して繁殖するが、晩秋にできる小さな新芽(むかご)が地上に落ちることによっても増殖する。
・茎の断面は円形及び楕円形。多肉質で柔らかく、先端付近での枝分かれが多い。葉の付け根は節になり、その付近は赤みを帯びる。
・葉は茎から互い違いに生じ、直径は15センチほどになる。左右非対称形で象の耳のように見えるため、英名をエレファントイヤーという。表面は鮮やかな緑色で葉脈が目立ち、赤い葉柄とコントラストをなす。
・開花期に採取した葉や茎をすりつぶし、タムシなど皮膚の炎症にかかる湿布薬とする民間療法があるが、シュウカイドウの葉や茎には蓚酸カルシウム及びベゴニンという有毒物質が含まれており、アレルギー体質の場合はさらなる炎症を起こし得る。また、誤って食べると下痢や激しい腹痛を引き起こす可能性がある。
【開花時期】
・8月~10月
【花の色】
・淡い紅、白
【背丈】
・40~60cm