コブシ/こぶし/辛夷

Kobushi magnolia

コブシの花,庭木図鑑,こぶし
花言葉は「信頼」「友情」など
辛夷の木,ツボミ,画像,こぶしの木
コブシの蕾
コブシの蕾,こぶし
開花は3~4月
こぶしの花,特徴,コブシ
ハクモクレンと混同されやすいが・・・
コブシ,特徴,見分け
花びらの下にある一枚の葉がハクモクレンとの違い
雌花,雄花
両性花で上部に雌しべが、下部に雄しべがある
コブシ,雌しべと雄しべ
受粉後の様子
辛夷の花
花は枝先に1輪ずつ咲く
こぶし,木,コブシ
開花期の様子
こぶしのき,樹木,コブシ
花が咲き終わった様子
コブシの新芽
葉芽の様子
辛夷の新芽
新葉は独特なヘラ形
辛夷の葉っぱ,写真
コブシの成葉(初夏)
辛夷の木の葉,こぶし,樹木
裏面は葉脈が目立つ
剪定例
街路樹として管理されているコブシの樹形
辛夷,庭木,画像
スペースがあれば雄大な樹形になる
Kobushi magnolia
コブシの葉(盛夏)と未熟な果実の様子
こぶしの実,画像
できはじめの果実は緑色だが・・・
fruits of magnolia kobushi
秋にかけてピンク色に色付く
こぶしの木の実
コブシの果実は遠目にも目立つ
コブシの木の果実
握りコブシに似るとされるが
こぶし,実
果実の形はいろいろ
辛夷,果実
果実は熟すと自然に裂け
seedd of Kobushi magnolia
赤い仮種皮に覆われた種子が顔を出す 
辛夷,タネ
熟したコブシの種子
辛夷の黄葉,こぶし,画像
黄葉の様子
辛夷,紅葉
暖地では綺麗に黄葉しにくい
辛夷の木,落葉期
葉を落としたコブシの様子
コブシ,幹,画像
樹皮は平滑で大きな特徴はない
巨木
大木の樹皮の様子
辛夷の木,伐採
材は楽器や床柱などに利用される

【コブシとは】

・北海道から九州まで日本全国の山林や日の当たる原野に自生するモクレン科の落葉広葉樹。早春に白い花を咲かせ、春の訪れを告げる代表的な里山の花木だが、葉が大きくて木陰を作りやすいため、街路樹や公園樹としての利用も多い。日本特産のようなイメージを持つが、韓国の済州島にも自生する。

 

・コブシの開花は3月下旬~4月上旬でソメイヨシノより早い。蕾は銀色の毛を持つ3枚の「萼片」で覆われ、葉が展開する前、小枝の先に直径6~10センチほどの白い花が1輪ずつ咲く。

 

・花弁は白色で外側は赤紫色を帯びるのが特徴。9枚あるように見える花弁のうち3枚は上記の萼。萼は緑色かつ小さくてあまり目立たない。雌雄同株で花弁の内側には細長い棒状の花床があり、その上部に緑色の雌しべが、下部にはクリーム色の雄しべが、それぞれ螺旋状に並ぶ。

 

・花にはレモンのような香りがあり、蕾と共に花酒や花茶に使われる。また、乾燥させた蕾は漢方で「辛夷(しんい)」といい、副鼻腔炎や鼻炎の緩和、鎮痛剤として使われる。有効成分はシトラール、シネオール、オイゲノールなど。ただし漢方の本場である中国にコブシはなく、中国での「辛夷」はモクレン科の植物を総称する。

 

・コブシには「田打ち桜」「田植え桜」「苗代桜」「種まき桜」「芋植え花」などの別名がある。これらはコブシの開花を農作業の準備の目安に使ったことに由来し、これに類する様々な地方名がある。日差しが多いと蕾の先は北向きとなり、コブシがたくさん咲いた年は豊作になるという言い伝えがある。

 

・葉は長さ6~13センチ、幅5センチ前後。歪んだ卵形で先端が凸状に飛び出す。枝から互い違いに生じ、縁にギザギザはなく裏面は淡い緑色を帯びる。若葉には毛があるが成葉では無毛。枝葉にもレモンのような香りがあり、折ったり燃やしたりすると強く匂う。

 

・コブシの蕾や果実は噛むと特有の香りと辛みがある。別名の「ヤマアララギ(山蘭)」や古名の「コブシハジカミ(辛夷椒)」はこれにちなみ、アララギはノビルを、ハジカミはサンショウやショウガを意味する。食用にはならず、香辛料のほか染料として使われる。

 

・果実は長さ10センチ前後に及ぶ集合果。秋(10月)に熟すと自然に裂け、中から赤い「仮種皮」に包まれた種子が白い糸を引きながら垂れ落ち、ややグロテスクな様相を呈する。種子は黒く、表面には線状の模様がある。熟すと早々に落下するが、アオゲラやキビタキなどの野鳥は地面に落ちた果実も採食する。  

 

・コブシという名前は、ゴツゴツした果実の形が握り拳に似ることによるが、果実の形は個体差が大きく、拳に似たものを見付けるのは案外難しい。むしろ蕾の方が拳に似ており、蕾をコブシの名の由来とする説もある。

 

・葉は秋に淡い黄色に黄葉するものの、その期間は短い。コブシは花期以外に注目されにくいが、落葉後の枝ぶりには力強さがあり、これが庭木として多用される理由の一つでもある。

 

・幹の直径は最大で70センチほど。樹皮は灰白色で樹齢を重ねると浅く裂ける。材の見た目はホオノキに似るが硬めで加工しにくく、質もホオノキに劣る。稀に茶室の床柱や器具材、楽器、家具などに使われ、コブシで作った炭は金銀の研磨に使われる。

 

【コブシの育て方のポイント】

・コブシは耐寒性、耐暑性があり、北海道から九州まで広い範囲に植栽できる。強風、潮風、痩せ地にも強いため、街路や公園の植栽に向く。

 

・時折テッポウムシの被害に遭うこともあるが、基本的には病害虫に強い。ただし、シデコブシほどではないが蕾をヒヨドリに食べられることがある。

 

・成長はやや早いものの、実生から育てると開花までに10年近くかかる。また、大きくなると開花が隔年になりやすい。

 

・枝分かれが単純であり、剪定の手間はあまりかからないが、木も葉も大ぶりであり、スペースの狭い一般家庭にはシデコブシが望ましい。

 

【コブシの品種】

・キタコブシ

 耐寒性に長けたコブシの変種で、北海道や東北、北陸などの北国に見られる。葉と花はコブシよりも大きい。  

北こぶし,樹木
黄葉期のキタコブシ

【コブシに似た木】

ハクモクレン

 ハクモクレンの花はコブシより大きく、多少黄色っぽい。花弁は6枚だが、これに加えて白くて大きい萼片が3枚ある。また、コブシは花の脇に小さな葉が1枚ついているがハクモクレンにはこれがない。

 

シデコブシ(姫コブシ)

 シデコブシ及びその園芸品種であるベニコブシは、樹高が低く枝葉も密生するため一般家庭に向く。最近はコブシと姫コブシの交配種である「バレリーナ」という八重咲き種の人気が高く、シンボルツリーとして用いられる。

 

タムシバ(ニオイコブシ)

 コブシよりも海抜の高い地に育ち、日本海側に多く、関東や東海地方では見られない。 花はコブシよりもまばらで、より小さく、花弁の幅も狭いが、芳香はコブシよりも強い。花の萼はコブシが緑色であるのに対し、タムシバは白で花弁との見分けがつきづらい。また、タムシバの葉はコブシよりも細長くて毛がなく、裏面が白い。また、タムシバは複数の細い幹が株立ち状に発生することも見分けのポイントとなる。 

 

オガタマノキ 

 近縁の常緑樹でコブシに似た果実ができるが、花はコブシよりもずっと小さく、葉陰に埋もれるように咲く。

コブシの基本データ

 

【分類】モクレン科/モクレン属

    落葉広葉/高木

【漢字】辛夷/木筆(こぶし)

【別名】タウチザクラ/望春花/迎春花

    ヤマアララギ/コブシハジカミ

    イモウエバナ/タネマキザクラ

    ヤマモクレン

【学名】Magnolia kobus

【英名】Kobushi magnolia

【成長】やや早い

【移植】根が荒く、やや難しい。

【高さ】8~25m

【用途】花木/シンボルツリー/公園

【値段】1500円~

 

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