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オオシマザクラ/おおしまざくら/大島桜
Oshima cherry
【オオシマザクラとは】
・名前のとおり大島を含む伊豆七島、伊豆半島及び房総半島を原産とするサクラ。話題の中心になることは少ないが、薪炭用に植栽されるほど丈夫な性質を持ち、他のサクラ類の台木にも使われる。美しいサトザクラ(カンザンなど)の多くは、これを起源とし、ソメイヨシノやイズヨシノの片親でもある。
・花は3月から4月にかけて、葉と一緒に展開するため花期に遠目から見ると木全体が黄緑色に見える。花弁は5枚で色は白が基本だが、稀に薄紅色となる。サクラの仲間としては珍しく花に芳香があるのが特徴。八重咲きの品種もある。
・7月頃にできる果実は球形で黒紫色。種を蒔けば発芽する率は高い。苦味が強く食用には不向き。
・葉にはクマリンという成分が含まれ、特有の香りを持つ。桜餅を包むのに用いるのはこのサクラで、6月ころの葉を塩漬けにしたものが翌年に使われる。ちなみに桜餅の発祥地は東京向島の長命寺で、販売開始は1717年(享保二年)だが、当時はオオシマザクラが一般的ではなく、より小さなヤマザクラの葉を使用していたという。
【育て方のポイント】
・他のサクラ同様に、日当たりと栄養のある土地を好む。
・島で生まれただけあって、サクラの中では特に海風に強いため沿岸部の景観樹として利用される。煙害にも強いため工場地帯の緑化にも重宝する。
・他のサクラ同様に剪定を嫌うため、植栽には相当なスペースが必要となる。やむを得ず剪定する場合、切り口は殺菌剤等で処置する。
・害虫が発生しやすいため、消毒が必要となる。
【オオシマザクラの品種】
・寒咲大島
早咲きの品種で、関東では3月中旬頃に開花する。
【オオシマザクラとヤマザクラとの違い】
・オオシマザクラは花軸に毛がなく、ヤマザクラより長い。またヤマザクラの花軸が紫色を帯びているのに対して、オオシマザクラは淡い緑色をしている。また、オオシマザクラの果実はヤマザクラより大きい。
オオシマザクラの基本データ
【分類】バラ科 サクラ属
落葉広葉/中高木
【学名】Prunus lannesiana
var.speciosa
【別名】シマザクラ/タキザクラ
【成長】早い(短命)
【移植】難しい
【高さ】5m~15m
【用途】花木/公園/街路樹
【値段】1000円~