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イヌビワ(犬枇杷)
Inu biwa (Japanese fig)











【イヌビワとは】
・関東から九州に分布するクワ科の落葉低木。自生は西日本の沿岸部に多いが、種子によって容易に増え、公園の植え込みなどでも見られる。日本以外でも東南アジアの山地に生じる。
・雌雄異株で4~7月頃、イチジクのように外からは見えない花をつけ、その後8~10月にかけて黒紫色の実を付ける。
・イヌビワの実は食用になるが、ビワほど美味しくはないという意味でイヌビワと名付けられた。マズイというほどではなく、微かに甘味があって生食できるが、小さな種がたくさん入っているため食べにくい。実際のところ実はビワというよりも、小さなイチジクに近い。
・中国からイチジクが渡来する前は、イヌビワをイチジクと呼んでいたとされる。枝や葉柄を切断するとイチジク同様に白色乳液が生じる。
・イヌビワの幹は白っぽいことと、古い枝の後がブツブツになって残っているため比較的、見分けやすい。
【育て方のポイント】
・日向を好み、寒さにはやや弱い。
・写真のように枝の出方は平坦であり、樹木そのものには観賞価値が乏しいが、剪定によって樹形を整えれば問題ない。
・イヌビワコバチと共生関係にあり、イヌビワコバチがいない環境では実がならない。
・イシガキチョウ(イシガケチョウ)の食樹であり、葉はその幼虫の食害に遭うことがある。
【イヌビワの品種】
・ホソバイヌビワ(細葉犬琵琶)
以下の画像のように、イヌビワよりも葉が細い品種で、庭木としてはイヌビワよりも好まれる。なお、ホソバイヌビワとイヌビワの雑種もあってややこしい。
・トキワイヌビワ(常葉犬琵琶)
常緑性のイヌビワで小笠原諸島に固有であるためオガサワライヌビワともいう。これに近縁のオオトキワイヌビワ(大常磐犬琵琶)は小笠原諸島の山地の岩場に自生し、より葉が大きい。


イヌビワの基本データ
【分類】クワ科 イチジク属
落葉広葉 低木
【学名】Ficus erecta
【別名】イタビ/コイチジク
ヤマビワ/カラビワ
【成長】早い
【移植】簡単
【高さ】2m~5m
【用途】公園
【値段】800円~