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フキ/ふき/蕗
Japanese Butter bur

【フキとは】
・本州、四国及び九州に自生するキク科の多年草。湿気の多い半日陰地を好み、山野や川の土手、道端などに見られる。フキノトウと呼ばれる花茎には独特の風味と香りがあり、平安時代に編纂された「延喜式」にも登場するほど古くから食用として栽培される。
・中国や朝鮮半島にも分布し、中国では「蜂斗菜」と呼んで、根を解毒や痰切りなどの薬用とする。日本での漢字表記は蕗、苳、款苳、菜蕗など。ヤマブキ、フウキ、フキンポ、タンバなどの別名及び地方名がある。
・フキの語源には諸説あり、冬に黄色い花が咲くことに由来するフユキ(冬黄)が転訛したものとする説や、大きな葉をトイレットペーパー替わり使ったことに由来するフキ(拭き)からきたとする説などが知られる。
・早春、まず初めに地上へ現れるのは鱗状の「苞」で覆われた花穂。幾重もの苞を纏って春の訪れを告げるその様は、フクジュソウにも通じる趣があり、生け花の花材にも使われる。
・気温が上がって苞が開くと花茎が伸び出し、その先端に画像のような小花が密生する。雌雄異株で雄株には淡い黄色の雄花が、雌株には白い雌花が咲き、開花期の花茎は30センチほどの高さになる。この状態を「薹が立つ(とうがたつ)」と呼び、食べ頃を過ぎた様を表す。
・食用となるのは蕾のうちに採取した花茎(フキノトウ)で、生のまま天婦羅にして食べることもあるが、茎はアクが強いため、普通はアク抜きが必要となる。一般的に自生のフキノトウはアクが強く、栽培品はクセが少ない。
・花が終わると多肉質の葉柄が根から直接伸び始め、その先に葉が展開する。葉は直径15~40センチ大の丸型で全体に白っぽい綿毛を生じる。葉柄は30~90センチほどになるが、これも含めて食用とする。
【開花時期】
・2~4月
【花の色】
・白(雌花)、黄色(雄花)
【背丈】
・~30cm
【フキの品種】
・斑入りフキ
葉に白やクリーム色の模様が入る品種。主に観賞用とする。
・アキタブキ
東北地方や北海道に自生する品種で、フキと同様に食用として商業栽培、加工される。葉や茎はフキよりも遥かに大きく、「秋田音頭」では唐傘代わりになると歌う。