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ワサビ/わさび/山葵

Japanese horseradish

わさび,植物
夏涼しく、冬暖か、かつ湧水の豊富な場所が栽培の適地
山葵,葉っぱ
ワサビの葉
わさび,野草
咲き始めの花茎は若葉と共に食用できる 
Japanese horseradish
花弁は4枚で、いびつな十字型になる
山葵の葉っぱ
葉は夏に向かってどんどん大きくなる
わさび,画像
茎の様子(赤茎ワサビ)

【ワサビとは】

・北海道~九州に分布するアブラナ科の多年草。冷涼な気候ときれいな流水を好み、イワナがいるような深山の清流沿いで稀に群生する。日本特産の植物であり、かつての学名はWasabia japonicaであった。

 

・刺身の薬味などに使うため食品として流通する「ワサビ」は本種の地中にできる肥大した根茎で、香辛料として古くから栽培される。ワサビという名は「悪障疼(わるさはひびく)」の略で、「きわめてからい」という意味。漢字表記の「山葵」は葉が葵(アオイ)に似ることによる。

 

・ワサビの開花は3~5月で若葉が展開する頃。頂部に伸びた長さ30~40センチの花茎の先に、4枚の白い花弁を持つ小さな花が多数集まって房状になる。花が終わると花茎が倒れ、数珠のようなクビレのある果実ができる。

 

・ワサビの葉には、株元から束になって出る根生葉と、茎から出る茎葉があるが、いずれもほぼ円形に近いハート形で長い柄があり、フキに似る。葉の質は薄く、表面は無毛で光沢があり、縁には細かなギザギザがあって波打つ。ワサビは木ではなく草の仲間だが、葉は緑色を保ったまま越冬する。

 

・根茎は円筒形で、節々に葉の跡が残るためゴツゴツとした形になる。根茎を食用あるいは薬用し始めたのは室町時代で、当初は酢と混ぜた「ワサビ酢」として刺身に使っていたが、江戸時代の終わり頃になると現代のように握り寿司に使う習慣が根付いた。

 

・民間療法では秋から冬にかけて採取した根茎をリュウマチの薬とし、すりおろした根茎を布に薄く伸ばして患部に塗布する。また、ワサビを刺身の薬味に使うのは、ワサビの根茎に解毒や健胃作用のあるアリルからし油などを含むため。

 

・辛さの正体は根茎の細胞に含まれるカラシ油配糖体のシニグリン。おろすことによって2~3の物質に分解され、ワサビ特有の辛味を生じる。

 

・ワサビは、山に育つ天然の山ワサビと栽培品に大別され、栽培品には流水で育てられる水ワサビと、畑で作られる「陸ワサビ(おかわさび)」がある。栽培品はいづれも根茎が大きい山ワサビを選出して改良したもの。長野県の安曇野や伊豆の天城山などが産地として知られる。

 

・天然のワサビは根茎が小指大で、おろしワサビには不向き。春に摘んだ茎葉をワサビ漬けや御浸しにしたり、細かく刻んだものを薬味にして使うのが一般的。晩春にかけてシカの食害によりその個体数は減少している。

 

【ワサビの品種】

・青茎ワサビ

 最も普通に栽培される品種で、香辛料としての質が高い。茎は緑色で直立し、旺盛に育つ。

 

・赤茎ワサビ

 茎が赤みを帯びるワサビ。食用するには粘り気が少なく、寒さに弱い。

 

・白ワサビ

 根茎が白く、おろしても白さが残る。粘り気や香りが乏しく香辛料としてはやや質が劣る。

 

・ユリワサビ

 低山の湿地に自生する品種で、葉柄の基部にユリの鱗茎のようなものがある。葉はワサビよりも小さく柔らかで、地を這うように茎を伸ばして育つ。根茎は小さ過ぎて食用に不向きだが、茎葉には微かな辛味と香りがあり、ワサビの代用になる。

ワサビの基本データ

 

【分 類】アブラナ科/ワサビ属

     多年草

【漢 字】山葵(わさび)

【別 名】ワサビナ

     フスベ/ヒノ

【学 名】Eutrema japonicum

【英 名】Japanese horseradish

【開花期】3~5月

【花の色】

【草 丈】20~40cm

 

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