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クズ/くず/葛
kudzu-vine
【クズとは】
・日本全国の山野や土手に見られるマメ科の多年草。秋の七草の一つであり、葛根根の原料となることで知られるが、旺盛な繁殖力で庭や緑地に侵入し、既存の樹木を枯死させる。
・ツルには硬い茶色の毛があり、あらゆる物に絡みつきながら長さ10m以上になる。細いツルを織れば着物や籠を作ることができ、既に万葉集の時代にはこの繊維を使って織物をしたという記録がある。
・クズの葉は丸型で3枚の小葉が一組になっている。若葉は茹でて食用に、成葉は傷口に貼れば止血に効果を発揮するという。また、葉は家畜の飼料になり、馬や山羊が好んで食べるため、ウマノボタモチ、ウマノオコワなどといった別名がある。
・葛根湯や葛粉の原料になるのは根の部分。肥大した根は地下深くに潜伏しており、長さ1~2m、重さは十数キロを超すこともある。根にはデンプンを多く含み、これを精製した葛粉は和菓子に用いる葛切や葛湯になる。
・葛粉は、根の外皮を取ったものを乾燥させた後に砕き、水にさらして沈殿させる作業を繰り返して作る。根の掘り起こしや精製の手間がかかるため、現代の葛粉はジャガイモで代用されることが多い。
・クズの開花は残暑の最も厳しい時季で、マメ科らしい穂状の花が下から順に咲いていく。この花は「酒を消す」といわれ、開花直後に摘み取り、風通しの良い場所で日干ししたものを煎じて飲むと二日酔いに効果があるという。花色には突然変異が多く、白やピンクの個体がある。また、花の後には鞘状の実ができる。
・一般に秋の七草といわれるものは本種以外に、オミナエシ、ススキ、キキョウ、ナデシコ、フジバカマ、ハギである。
【育て方のポイント】
・確たる目的と管理を継続する労力(経済力)、気力がなければ絶対に敷地内に植えるべきではない。放置すれば建物も含めて全てがクズに覆い尽くされる。
クズの基本データ
【分類】マメ科 クズ属
落葉つる性広葉
【学名】Pueraria montana var. lobata
【別名】ウマノボタモチ/ウマノオコワ
【成長】かなり早い
【移植】根を掘り起こすのが困難
【高さ】5m~10m
【用途】土留め/壁面緑化/薬用/食用
【値段】─