キヅタ/きづた/木蔦

Japanese ivy

キヅタの花,きづた,開花時期
花が少ない時期に咲くが、あまり見向きされない 
木蔦,植物
キヅタの新芽
木蔦,植物
芽出しの様子
Japanese ivy
キヅタの新葉
キヅタの葉っぱ,きづた,画像
葉の形は樹齢によって微妙に異なる
きづた,きずた,植物
裏面の様子
きづた,蕾
ツボミの様子
Japanese ivy,flower
咲き始めの花の様子
キヅタ,特徴
5本ある雄しべの先端には黄色い「葯」がある
木蔦,冬蔦,花
受粉が終わると全体的に褐色を帯びる
キヅタの花
他の木を覆って開花する様子
木蔦,種子
キヅタは実がなりやすく、ほとんどの花が結実する
Japanese ivy,flower
他の樹木をよじ登り、幹を覆い尽くす
きづた,植物
人為的に管理する場合、棚などにして繁茂を防ぐ
キヅタ,キズタ,画像
不規則に生じる多数の気根で他物に絡みついて育つ

 

【キヅタとは】

・北海道南部~沖縄の各地に分布するウコギ科のツル性植物。平地の藪などでも普通に見られる代表的なツル性植物で、林縁や明るい林内に生じ、他の樹木や岩に付着しながら成長する。日本以外では朝鮮半島南部、中国南部、台湾に分布。

 

・葉は直径2~7センチの肉厚な革質。表面は光沢のある濃緑色で裏面は淡い黄緑色。縁は波打つ。若いキヅタの葉はトウカエデのように浅く裂けて3~5角形になるが、古い株の葉は菱形に近い卵形で裂け目はなく、先端が鈍く尖る。葉には長さ3センチほどの柄があり、ツルから互い違いに生じるのが普通だが、対になることもある。

 

・キヅタは年間を通じて葉を落とさない常緑性。冬にも葉があることを強調したフユヅタという別名があり、落葉性のツタ(=ナツヅタ(夏蔦))と区別する。本種は鬱蒼としやすいため、紅葉の綺麗なナツヅタのように庭に用いられることは稀であるが、石垣やフェンス、建物の壁面などに使う例もある。 

 

・キヅタの開花は10月~12月。枝先にヤツデに似たボール状の花序(花の集り)を複数生じ、直径4~5ミリの小さな五弁花を咲かせる。雌雄同株で花には5本の雄しべと雌しべがあり、雄しべは花弁から長く突き出す。雌しべは花盤と呼ばれる花の中央部でわずかに膨らむ。

 

・開花が進むと花弁は反り返って脱落し、花盤は褐色を帯びる。花後にできる果実は直径6~8ミリほどの球形で水分を含む。果実が黒紫色に熟すのは翌春4~5月で、ヒレンジャク、ツグミ、ヒヨドリなどの野鳥が採食する。果実の中には数個の種子がある。 

 

・キヅタのツルは気根を出しながら育ち、最長で10m、太さ10センチにもなる。また、若いツルには淡い黄色の微毛があるが、樹齢を重ねると黒褐色になる。ツタよりも太く、かつ木質となるためキヅタ(木蔦)と呼ばれるようになった。  

 

・ツルや葉を含む全草の汁液にファルカリノールやヘデリンというアレルギー性物質を含む。これに触れると皮膚のかぶれを起こし、誤飲すれば嘔吐、下痢、腹痛などの症状を引き起こす可能性がある。

 

【キヅタの育て方のポイント】

・土の質や湿度を問わず丈夫に育ち、枝葉が密生しやすい。そうした特性を生かしてビルの壁面緑化やインターチェンジの雑草除けとして使うことがあるものの、一般家庭での植栽はあまりお勧めできない。あえて庭に植える際は、強めの剪定を繰り返すことで、他の樹木への悪影響を抑える必要がある。

 

・若木のうちは開花しにくいが、樹齢を重ねると花や実の数が多くなる。

 

【キヅタの品種】

・フクリンキヅタ

 緑白色のまだら模様が入る品種。明るめの雰囲気を持ち、原種よりは園芸に向く。

 

・ナガボキヅタ

 沖縄や九州に見られる品種で、原種よりも花序が長い。この他、中国には黄色い実がなるキヅタがある。

 

【キヅタに似た植物】 

ツタ

 キヅタに似るが落葉性で、秋の紅葉が美しい。

 

・ヘデラへリックスなど多様な品種が出回る「アイビー」はヨーロッパや西アジアを原産とし、「セイヨウキヅタ」と呼ばれる。セイヨウキヅタの多くはキヅタよりも葉が大きく、園芸用には斑入りの品種を使うことも多い。

西洋きづた キズタ
セイヨウキヅタは「アイビー」として親しまれる

キヅタの基本データ

 

【分類】ウコギ科 キヅタ属

    常緑つる性広葉

【別名】フユヅタ/オカメヅタ/キズタ

    ツノモジキ/コマノキ/コマカズラ

【学名】Hedera rhombea 

【成長】やや遅い

【移植】実生や挿し木で増やすのが一般的

【高さ】5m~10m

【用途】土留め/壁面緑化

【値段】200円~

 

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