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イジュ/いじゅ/伊集
Schima wallichii
【イジュとは】
・沖縄、奄美諸島及び小笠原諸島に分布するツバキ科の常緑樹。イジュという名は沖縄の方言に由来するとされるが語源は不明。小笠原諸島ではヒメツバキあるいはタマツバキという。かつては両者を区別していたが近年は同種とすることが多い。日本以外でもヒマラヤ東部~東南アジアに広く分布し、沿海の山地に生じる。
・イジュの開花は3~6月で、葉の付け根から伸びた長さ2センチほどの花柄に、直径4~5センチの白い花が咲き、微かに甘い香りを放つ。花の中央には多数の黄色い雄しべ(花柱)があり、花弁は5~6枚。ツバキ同様にこれらは基部で合着しており丸ごと落下する。
・花の後には直径2センチほどの乾いた果実ができる。果実は頂部が平らな球形で、表面には絹毛が密生する。果実が熟すのは10月頃で、五つに裂けると翼のある平らな種子が顔を見せるが、原産地では台風の影響で果実が熟す前に落下するため、実生による天然の個体数は少ない。
・葉は長さ10~15センチほどの長楕円形で先端は尖り、基部はクサビ形。縁のギザギザは地域によって変異がある。全体に光沢のある革質で毛の有無も地域によって異なる。葉は枝から互い違いに生じるが先端付近に集まりやすい。大木になると枝全体が垂れ下がるように育つ。
・樹皮は褐色で成木では厚めになる。材は硬くて割れにくいため、沖縄などでは優良な建材とされる。樹高は10~20m、幹の直径は最大で1mになる。
【イジュの育て方のポイント】
・日向を好む。半日陰地でも耐えるが、日照の少ない場所では花つきが悪くなる。
・南国生まれだが成木であれば耐寒性があり、関東以西では露地植えで育てることもできる。寒さの厳しい地域では冬季に葉がくすんで見苦しくなったり、落葉したりするため観賞価値は落ちる。若い個体は半耐寒性であり、関東では観葉植物のように扱われることも多い。
・乾燥地を好むため、水はけの悪い場所は土壌を改良した方がよい。
【イジュに似ている木】
・ミケリア
全くの別種だが花や葉の雰囲気が似る。ミケリアが咲くのは春の早い時季。
イジュの基本データ
【分類】ツバキ科/ヒメツバキ属
常緑広葉/高木
【漢字】伊集
【別名】ヒメツバキ(姫椿)
タマツバキ(玉椿)
【学名】Schima wallichii
【英名】Schima
【成長】やや遅い
【移植】簡単
【高さ】10~20m
【用途】シンボルツリー/鉢植
【値段】12000円~