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イワナンテン/いわなんてん/岩南天

Keiskei fetterbush 

いわなんてん,葉っぱ
深山に自生する在来種であり、セイヨウイワナンテンよりも小ぶりなものが多い

 

【イワナンテンとは】

・関東以西の本州(主に紀伊半島、中部地方南部、関東地方西部)を原産地とするツツジ科の常緑低木。深山にある日当たりの悪い林内や崖地に自生。岩場から垂れ下がるように生えるため、平坦な場所には少ない。

 

・控えめな花の様子や光沢のある葉を観賞するため、和風庭園に使われることもある。背丈が大きくならないため、高木の根本や手水鉢の横などに植栽され、庭の脇役となる。 

 

・岩場に生じ、ナンテンに似た葉を持つためイワナンテンと名付けられた。学名Leucothoe keiskeiは、幕末から明治時代に活躍した伊藤圭介氏にちなんでおり、植物学者としての業績を称えてシーボルトらによって献名されたもの。

 

・生け花の世界ではホソバヒイラギナンテンをイワナンテンと呼ぶことがあるが、分類上は関係がない。

いわなんてんの木,イワナンテン
葉は長さ5~9センチ、幅1.5~3センチ位
岩南天の木
岩場から垂れ下がるように育つ

 

・葉は卵形で分厚く、茎から互い違いに生じる。先端は尖り、縁は波状で浅いギザギザがあり、表面は艶があって日陰にも映える。環境によっては赤味を帯びることが多い。日向に植えると秋に紅葉し、よりいっそうナンテンに似る。

 

・混同されやすいセイヨウイワナンテンの枝は黄色~緑色のものが多いが、イワナンテンの枝は赤みを帯び、分岐しながら30~90センチほど伸びる。無毛だが若い木では褐色の毛があることも。

イワナンテン,いわなんてん,低木
冬の様子

 

・イワナンテンの開花は5~7月。前年に伸びた枝葉の付け根から花序が伸び、アセビに似た長い筒状の花が2~7輪ずつ下向きに咲く。花は白色で先端は五つに裂け、10個ある雄しべが顔を出す。

 

・花の後にできる果実は直径7~8ミリほどの扁平した球形で、上向きにできる。果実が熟すのは10月頃で、中には両端の尖った長さ1.2ミリほどの種子が入っている。

イワナンテンの花,いわなんてん
開花は5~7月頃 花の長さは3~5センチ
岩南天,花,いわなんてん
花言葉は「節制」など
いわなんてんの実
イワナンテンの果実

【イワナンテンの育て方のポイント】

・湿気が多く、かつ排水の良い砂質の土壌を好む。

 

・性質はやや弱く、剪定を嫌う。また、植え場所の条件が悪いと病気になったり枯れたりすることがある。特に乾燥しやすい町中の庭や公園では生育が難しい。 

【イワナンテンの種類】

セイヨウイワナンテン(=アメリカイワナンテン)はオフィス街の緑化にも用いられるなど、丈夫な性質を持ち、日本のイワナンテンよりも育てやすい。

アメリカイワナンテン,花,いわなんてん
セイヨウイワナンテンの花

 

【イワナンテンに似ている木】

ハナヒリノキ

 雰囲気は本種に似るが、枝葉が匍匐せず、低木状になる。

イワナンテンの基本データ 

 

【分類】ツツジ科/イワナンテン属

    常緑広葉/低木

【漢字】岩南天(いわなんてん)

【別名】イワツバキ

【学名】Leucothoe keiskei 

【英名】Keiskei fetterbush 

【成長】遅い

【移植】やや難しい

【高さ】0.5~2m

【用途】下草/鉢植/花材

【値段】800円~

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