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ゴシュユ/ごしゅゆ/呉茱萸

Euodia Fruit

ごしゅゆ,カラハジカミ,ゴシュユ
果実には強烈な苦味と臭いがある 
ごしゅゆの木
冬芽の様子
ごしゅゆの木の葉っぱ
ゴシュユの葉は大きな葉が集まった羽根状 ちぎると臭気がある
呉茱萸,葉,ごしゅゆ
小葉は大きく、長さ10センチにもなる
からはじかみ,樹木
葉の裏面は葉脈が目立ち、白っぽく見える
呉茱萸の花
花の終わりの様子(雌花)
呉茱萸の果実,薬用,ごしゅゆ
未熟な実の様子
呉茱萸,読み方
ゴシュユの実
ゴシュユの木,ごしゅゆ
樹高は普通2~3mだが6mに達するものもある
幹
樹皮の様子

【ゴシュユとは】

・中国中南部を原産とするミカン科の落葉高木。「呉」は古い時代の中国の国名であり、「呉の国の茱萸」という意味合いで、「呉茱萸(ごしゅゆ)」と名付けられた。いろいろなグミがあるが本種が本来のグミ(茱萸)とされる。

 

・漢方薬の中でも有数の効能があるという果実の利用を目的とし、享保年間(1716~1736年)に小石川御薬園(現在の小石川植物園)へ導入されたものが各地に株分けされ、後に野生化した。

 

・長さ30~45センチにもなる羽根状の葉は、先の尖った楕円形の小葉が2~5対集まってできる。小葉は長さ10センチ、幅6センチほど。革質で縁は丸く、葉柄や葉脈、若い枝には褐色の毛がある。葉を含む木全体に特有の香りがあり、乾燥させた枝葉は入浴剤として使う。

 

・開花は5~6月。さほど見栄えのしない淡い緑色の小花が枝先に円錐状に集まって咲く。花には萼片と花弁が5個ずつあるが、花弁は開ききらず、切り立ったようになる。

 

・花の後には、いびつな楕円形の果実ができ、10月頃になると紫を帯びた紅色に熟し、ボタンクサギのような色合いになる。雌雄異株だが日本には雌株しかないため、果実はできるが種子はできないとされる。

 

・果実は平らな球形で内部は五つに分かれる、アルカロイドが含まれ、生の果実は特に強烈な臭いと辛味がある。乾燥させた果実はサンショウ(ハジカミ)に似るため、中国の山椒という意味合いを持つ、カラハジカミ(唐山椒)という別名がある。

 

・この辛さにちなみ中国ではゴシュユを「邪気を払う木」とし、旧暦9月9日の「重陽の節句」には果実の房を頭に挿す風習があった。京都には重陽の節句に茱萸袋を飾る風習が見られるが、これはゴシュユの実を入れた袋の形が、グミの実(ナツグミアキグミ)に似たことから誤用されたもの。

 

・漢方薬として使うのは、未熟な果実を陰干しして乾燥させたもので、古いものほどよいとされる。漢方名も「呉茱萸(ごしゅゆ)」で、胃もたれ、消化不良、頭痛、利尿 便通、発汗の促進などに効果があるとされ、入浴剤にも使われる。ただし、多食すると錯覚や陣痛をもたらすとされ、殺虫に使うこともある。

 

・真偽が明らかでないものの、平安時代の法令集である延喜式には、ゴシュユの果実が各地から献上されたという記録があり、江戸時代よりも前に、果実だけは日本へ渡っていた可能性がある。

 

・幹の直径は最大でも20センチほど。樹皮は暗い褐色で若木のうちは滑らかだが、樹齢を重ねると白い輪状の模様が入る。

 

【ゴシュユの育て方のポイント】

・土質を選ばずに育ち、暑さ寒さにも比較的強い。

 

・樹高はそれほどでもないが、葉がかなり大きく、樹形もまとまらないため一般家庭での管理は難しい。

 

・雌雄異株だが日本にあるのは雌株のみ。果実はできるが種子ができないため、繁殖は春に株分けして行う。

 

【ゴシュユに似ている木】

・ハマセンダン

 三重県以南の各地に見られるゴシュユの仲間。九州南部では街路樹として使うこともある。ゴシュユの仲間には他にムニンゴシュユ、ホンゴシュユがある。

 

・イヌゴシュユ

 中国北部と朝鮮半島に分布するゴシュユの仲間。葉柄や枝に毛がない点がゴシュユとの違い。蜂がよく集まるため蜜源植物としてニホンミツバチの養蜂に使われる。

 

キハダ

 同じミカン科の落葉樹で、庭木としてより広く普及する。

ゴシュユの基本データ

 

【分類】ミカン科/ゴシュユ属

    落葉広葉/高木

【漢字】呉茱萸(ごしゅゆ)

【別名】カラハジカミ

    ニセゴシュユ

【学名】Tetradium rutaecarpa

【英名】Euodia Fruit

【成長】早い

【移植】簡単

【高さ】2~6m

【用途】薬用/庭園/公園

【値段】庭木としての流通は稀

 

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