エノキ/えのき/榎

Chinese Hackberry

榎 樹木 画像
河原の添景に使われるエノキ
木へんに夏,えのき,樹木
冬芽は地味で目立たない
榎 新葉 画像
エノキの新芽は食用になる
榎,えのき,樹形,画像
新緑の頃の様子
樹木図鑑,エノキ
葉の先端は尖り、上半分にギザギザがある。虫に大人気で、まともに形をとどめる葉は珍しい
榎,えのき,実,写真
エノキの実は8月頃から色付き始め、9~10月に熟す
榎の果実,えのき
エノキの実の直径は6~8ミリほど
榎の実,えのき,画像,樹木図鑑
葉の裏側と熟した実の様子
榎,えのき,紅葉,画像
黄葉初期の様子
エノキの木,樹木,えのき
皇居東御苑
榎,えのき,紅葉,黄葉,画像
黄葉期の葉の様子
榎の木,植物
冬季の様子
榎の木の幹,画像,えのき
樹皮に大きな剥離はないが、ボツボツが多い
榎,えのき,巨木
大木の様子

【エノキとは】

・北海道を除く日本各地に自生するアサ科の落葉樹。山地や雑木林の縁、川沿いなどで普通に見られる木だが、枝分かれが多くて大きな緑陰を作ることができるため、ケヤキムクノキなどと共に各地の一里塚や神社仏閣に植栽され、その巨木が今日でも見られる。日本以外では中国の中北部、台湾及び朝鮮半島に分布。

 

・エノキという名の由来には諸説あるが、①信長、家康、秀忠、家光のうちの誰かが、(マツ以外の)「余の木(ヨノキ)」を一里塚に植えるよう命じ、これに応じる形で植えられたのがこの木であったためヨノキが転じてエノキとなった、②縁起の良い木を意味する「嘉樹(ヨノキ)」が転じてエノキとなった、③秋にできる朱色の実は小鳥や森の生き物に人気が高く、「餌の木」からエノキとなった、などの説がある。漢字の「榎」は日本で作られたものであり、中国では「朴樹」と表記する。

 

・葉は長さ4~10センチ、幅3~6センチほどの長楕円形で枝から互い違いに生じる。表面に多少の光沢があり、上半分のみにギザギザがあること、葉脈が葉の付け根付近で3本に分かれることが特徴だが、森の生き物に人気が高く、黄葉期まで形をとどめていることは珍しい。

 

・国蝶であるオオムラサキやヤマトタマムシ、ゴマダラチョウ、テングチョウ、ヒオドシチョウなど蝶々には欠かせない餌であり、これらはエノキやエゾエノキの葉を食べて育ち、葉裏でサナギとなる。オオムラサキの個体数は減っており、エノキを植林して保護する地域もある。

 

・エノキは蝶だけでなく、人間の食糧ともなり、食糧難の時代にはエノキの若菜を米と一緒に炊き込んで「糧飯(カテメシ)」として食べることもあった。

 

・エノキは「縁」に通じることから「縁結びの木」あるいは「縁切りの木(縁切りエノキ)」として使う俗信があった。縁を結ぶにはエノキに願をかけ、縁を切る場合は、人知れずそっとエノキの葉を食べると良いらしい。「縁の木」と呼んで有難がり、御神木とする場合もある。

 

・現代人にとっては葉や実よりも、株元や枯れ枝にできるエノキダケの方が人気が高い。なお、エノキダケは榎に限らずコナラカキなど多様な落葉樹の腐食部に寄生する。

 

・開花は芽吹きと同時の4~5月。雌雄同株で花には雌雄(あるいは両性花)あるが、いずれも緑色の小さな花であまり目立たない。雄花は新枝の下部に咲き、花粉のついた4個の雄しべがあり、雌花は新枝の上部に咲き、4個の雄しべと、先端が二つに裂けた雌しべ(花柱)がある。

 

・雌花(両性花)の後には球形のカラフルな果実ができ、9~10月に熟す。果実の直径は6~8ミリ程度で果皮には干し柿のような甘味があり、昔の子供はおやつにした。メジロ、ツグミ、オナガ、コイカル、シロハラ、アトリなど数多くの野鳥が果実を目当てに集まり、糞によって種子を拡散するため、道端で幼木を見掛けることが多い。

 

・エノキの幹は灰色で直立し、最大で直径1.5mほどになる。樹皮はケヤキやムクノキのように剥離しないが、表面にイボイボが多く、所々で横筋が入り、手で触れるとザラザラする。根張り(地際の幹)の美しさは日本の樹木でもナンバーワン。

 

・大木となるエノキからは大きな板を取ることができるものの、その材はねじれやすく、材木としての評価は低い。ただし、頑丈であるためカマツカと同じように農具(カマなど)の「柄」を作るのに使われた。「柄の木」がエノキに転じたという説もある。

 

【エノキの育て方のポイント】

・日当たりが良ければ土質は選ばない。乾燥地でも湿地でも育つが、基本的には湿気を好み、かなりの湿度にも耐える。このため、水際の添景や海辺の防風にも使われる。 

 

・枝分かれが多く、繁茂しやすい。芽を出す力が強く、剪定に耐えるが大木であり、自然樹形を楽しむには広いスペースが必要。他の木とバランスを取るのが難しく、狭い庭でこじんまりと管理することはできない。

 

・既述のとおり葉は昆虫類の食害に遭いやすく、フシダニによる「虫こぶ」ができて見苦しくなることもあるがこれらを完全に防ぐのは難しい。

エノキハトガリタマフシ
「虫こぶ」の一例 ドングリのように見える

 

【エノキの品種】

・エゾエノキ 

 果実が黒く熟すこと、葉の縁のギザギザがほぼ全周にあること、葉幅の最大位置がエノキよりも基部に近いこと、葉柄が長いことが特徴。名前とは裏腹に日本全国の山地に見られるがその数は少なく、寒い地方の谷沿いで稀に見られる。  

えぞえのき,樹木
エゾエノキの葉の最大幅は、エノキよりも基部よりにある
蝦夷榎,紅葉
エゾエノキの黄葉

 

・シダレエノキ

 エノキの中でも枝が垂れ下がる樹形を持つ個体を特にシダレエノキという場合がある。長野県上田市の「東内のシダレエノキ」は国の天然記念物に、岐阜県中津川市にある諏訪神社のシダレエノキは「信州の木百選」に名を連ね、観光名所となっている。

榎の品種,えのき
シダレエノキ
枝垂れ榎,果実
シダレエノキの実の様子

 

【エノキに似た木】 

・エノキとケヤキの見分け方

 樹形は似るが、エノキの葉はケヤキよりも肉厚で緑が濃く、葉の幅は中央付近が最も広い。見慣れれば全く異なることが分かる。

ケヤキとエノキの違い,えのき
ケヤキの葉
欅と榎の見分け
エノキの葉

 

・エノキとムクノキの見分け方

 ムクノキは老木になると幹に穴(洞)が空きやすく、奇怪な形の幹になるものが多い。こうした特徴はエノキやケヤキにはほとんど見られないため、見分ける際の手掛かりになる。

 

 しかし、もっとも簡単な見分け方は、葉の表面で自分の爪を磨いてみることである。ムクノキの葉はザラザラしており、トクサのように爪を磨くことができるが、エノキはツルツルしていて爪磨きにはならない。

 

 また、秋であれば両者の果実の違いで区別できる。できはじめのエノキの実は緑、赤、黄色が入り混じってカラフルになるが、ムクノキの実は緑、黒、褐色と一貫して地味。実の直径はムクノキが明らかに大きく、甘みもより強い。

見分け 区別,えのき,むくのき
エノキ(左)はツルツルだが、ムクノキ(右)はザラザラ

エノキの基本データ

 

【分類】アサ科(旧ニレ科)/エノキ属

    落葉広葉/高木

【漢字】榎(えのき)

【別名】エノミ/エノミノキ

    ヨノキ/ヨノミ/アブラギリ

【学名】Celtis sinensis

【英名】Chinese Hackberry

【成長】早い

【移植】簡単

【高さ】7m~25m

【用途】公園/雑木の庭

    並木/盆栽

【値段】800円~