庭木図鑑 植木ペディア > ウツギ
ウツギ/うつぎ/空木
Japanese snowflower
【ウツギとは】
・北海道南部から九州まで、日本全国の山野に見られるユキノシタ科の落葉低木。5月から6月にかけて咲く白い花は、派手さはないものの清楚なたたずまいであり、万葉集にも登場するなど古くから日本人に親しまれる。
・唱歌「夏は来ぬ」では「卯の花の匂う垣根にホトトギス~」と歌われるが、花に香りはなく、純白の美しさを詠んだものと考えられる。花は釣鐘型で、花弁は5枚ある。
・幹や枝の中心に「髄」がなく、空洞になっていることから「空木」と名付けられた。別名ウノハナは、卯月(4月)に開花する「ウヅキノハナ」から転訛したもので、料理の名前にも使われる。
・丈夫で育てやすいことから、かつては畑や敷地の境界線に植える「境木」として使われることが多かった。
・葉は卵形あるいは楕円形で枝から対になって生じる。葉の表面には細かな毛が密生し、手で触れるとザラザラする。
・ウツギの枯れた枝や幹は腐りにくいことで知られ、木釘の材料に使われた。
【育て方のポイント】
・北海道から九州までの広い範囲に植栽できる。
・湿気のある日向を好むが、あまり土質は選ばない。ただし、栄養の乏しい場所では花つきが悪い。
・病害虫、強い剪定に耐えるなど丈夫な性質を持つ。
・かなり大株になり、歳月を経て不要な枝が増えるため、4年に一度程度、株元ですべての枝を剪定して更新するのがよい。
【ウツギの品種】
日本には以下のものを含めて13種のウツギがある。いずれも枝葉に「星状毛」と呼ばれる、枝分かれした細毛が見られるのが特徴。
・サラサウツギ
八重咲きで花弁の縁がピンク色を帯びている。
小型のウツギで一般家庭に適している。園路の縁などに使うことが多い。
・シロバナヤエウツギ
八重咲きの品種でゴージャスな花を咲かせる。花は重みで垂れ下がるように咲く。
文字通り葉が丸みを帯びる品種。ウツギ同様、広い地域に分布する。
・ウラジロウツギ
長野~四国に分布するウツギで、特に京都付近ではウツギよりも普通に分布する。ウツギに比べると枝は細くて数が多い。
![]()
枝いっぱいの八重咲きの白に赤のぼかしの花【更紗空木(サラサウツギ)】樹高1.6m前後 株立ち... |
【ウツギとの名が付く木】
ウツギと名乗る樹木はたくさんあるが、中には花がウツギっぽいだけで分類上はあまり関係のないものが多い。
ウツギの基本データ
【分類】ユキノシタ科/ウツギ属
落葉広葉/低木
【学名】Deutzia crenata
【別名】ウノハナ(卯の花)
ウツギノハナ
【成長】早い
【移植】簡単
【高さ】1m~3m
【用途】公園/垣根/花木
【値段】500円~