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アカメガシワ/あかめがしわ/赤芽柏
Japanese Mallotus
【アカメガシワとは】
・東南アジアの山地に見られるトウダイグサ科の落葉樹で、日本では北海道を除く全国の荒れ地や山地に分布する。晩春の芽吹きが紅色で、葉の形あるいは用途(後述)がカシワに似るとしてアカメガシワと命名された。
・新葉は生け花の花材として使われるが、基本的には雑草と共に藪の中にあるような木であり、人為的に植栽されるのは稀である。新葉と葉柄が赤く見えるのは、表面に星状の赤毛が密生するためで、夏には緑色に変わる。
・葉は長さ10~20センチ、幅6~15センチで長い柄があり、枝から互い違いに生じる。形状は環境や個体によって様々だが、若い木では葉の縁が浅く三つに裂けるものが多い。3本の葉脈が目立ち、両面とも細かな毛で覆われる。
・アカメガシワの葉はその大きさを利用して、神仏への御供え、団子や寿司を包むのに使われ、ゴサイバ(五菜葉)、サイモリバ(菜盛葉)」といった方言名が残る。若芽と新葉には独特な臭いがあるが、柔らかい時季であれば天婦羅やお浸しに、和え物にして食べることができる。
・雌雄異株で5~7月頃に穂状の花を咲かせる。雄花は画像のように雄しべがたくさんあって目立つが、赤い雌花は虫の触角のような形状で花らしさはない。
・雌花の後にできる果実は外側に柔らかな棘があるのが特徴。暗褐色の艶やかな色に熟すのは10月頃で、乾燥すると三つに裂け、中に含まれる直径4ミリほどの球形の種子によって容易に繁殖する。
・幹や枝の出方は直線的で面白みがないものの、「ヒサキ」の名で歌に詠まれ、いわゆる「万葉植物」に数えられる。若木の樹皮は白くて美しいが、樹齢を経ると灰褐色になり、浅い割れ目によって網目模様が生じる。
・幹の直径は最大30センチほど。材は建築や器具材に使われる。樹皮にはタンニン及びベルゲニンという苦味物質が含まれるが、胃潰瘍に効くとして注目を浴びた時期があった。今でも健康食品、ダイエット食品として「アカメガシワ茶」が売られている。
・民間療法では生の葉をつぶしたものが、腫れ、できもの、痛み止めなどに効くとする俗説があるが、これは漢方が日本に紹介された際、本種をキササゲと混同したことによるもの。
【育て方のポイント】
・伐採の跡地で真っ先に生える木の一つであり、非常に丈夫な性質を持つ。土質を選ばず、藪の中でも育つが、基本的には日向を好む。
・成長が早く、大木となりやすいが剪定で形を整えるのは難しい。幹は直立せず斜め上に開いて育ち、枝張りが大きくなりやすい。広大なスペースで放任して育てるのが理想的。
・一般家庭で庭木として使うような木ではないが、以下のような斑入り種は珍重される。
【アカメガシワの品種】
・斑入りアカメガシワ
葉に模様が入る品種で園芸用として稀に流通する。
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アカメガシワの基本データ
【分類】トウダイグサ科/アカメガシワ属
落葉広葉/高木
【学名】Mallotus japonicus
【別名】ヒサキ/アズサ/ゴサバ
【成長】早い
【移植】難しい
【高さ】5m~15m
【用途】雑木/公園
【値段】2000円~