コナラ/こなら/小楢

Konara Oak

コナラ,画像,樹木,こなら
雑木林の主役となるコナラ かつては薪に使われた
小楢,新芽,こなら,樹木
コナラの冬芽は存在感がある
コナラの木,新葉
春になると新葉や蕾が顔を出す
Konara Oak,picture
新芽は銀色っぽくなるものもある
小楢,木,特徴
新葉の様子
コナラの木,葉っぱ,こなら
葉の裏面の様子(上の方に見えるのは雌花)
コナラの花,時期
目立たないが、初夏には花が咲く(紐状のものは雄花)
楢の木の花,こなら
コナラの雄花
こなら,開花時期
開花期は全体が黄色っぽく見える
コナラの雌花
雌花は枝先に咲くが、地味かつ小さくて見付けにくい
楢の木の実,こなら
受粉後の雌花は少しずつドングリになる
夏の小楢
盛夏の様子
コナラ,ドングリ
未熟なドングリの様子
こなら,実,食べる
どんぐりは灰汁抜きすれば食用になる
コナラ,実生,発芽
林の中ではドングリから発芽した苗木もよく見かける
小楢,紅葉,画像,コナラ
秋には「黄葉」あるいは・・・
コナラの紅葉,画像
「紅葉」する
コナラの紅葉,こなら
若い木の紅葉初期はこんなグラデーションも
小楢,樹木,特徴
コナラの樹皮の様子 樹齢を重ねると亀裂が深くなる
こならのき,樹木
幹の断面

【コナラとは】

・北海道北部及び沖縄を除く日本各地に分布するブナ科の落葉広葉樹。自生は山地のやや乾いた場所だが、材を薪炭に使うため民家近くで大量に植栽され、その名残が各地で普通に見られる。

 

・コナラはクヌギと並ぶ雑木林の主であり、絵に描いたような形のドングリができる。このドングリは里山の生き物の貴重な食糧となり、また、材はシイタケ栽培のホダ木(原木)、薪、家具材として使われ、日本人の生活に大変に馴染みが深い。日本以外では朝鮮半島に見られる。

 

・「ナラの木」という木はないが、単に「ナラの木」という場合は本種あるいはミズナラを示すことが多い。本種はミズナラよりも葉や樹高が小さいためコナラ(小楢)と呼ばれ、本種との対比においてミズナラはオオナラ(大楢)と呼ばれる。コナラは丘陵地に、ミズナラはより高い山地に見られる。

 

・「ナラ」の語源には、朝鮮語の「Kalak nam」が転化したものとする説、葉が長いことを意味する「ながらは」が転訛したとする説などがある。

 

・コナラの葉は長さ5~15センチ、幅5センチ前後。楕円形で先端が尖り、葉先に近い方が葉の幅が広い。若葉は絹毛が密生し、遠目からは銀色に輝く。紅葉は他の樹種に比べると遅く、色合いも渋め。若い木ほど紅葉が美しい。葉は樹皮やドングリと共に、茶や黒の染料として古代から使われる。

 

・開花は葉の展開と同時期の4~5月。雌雄同株で同じ枝に雌雄それぞれの花が咲くが、雌花は新枝の上部にある葉の脇で数輪が密かに咲くため目立たない。雄花は多数が集まり3~6センチほどの黄色い紐状になって新枝の基部から垂れ下がる。

 

・雌花の後にできるドングリは長さ2センチ前後でミズナラよりも小さくて細長い。殻斗と呼ばれる帽子はお椀型で表面は鱗状になる。ドングリが熟すのは開花した年の秋(10月頃)。渋味があるがツキノワグマなどの野性動物、カケス、オシドリ、アオバトなどの野鳥が好んで食べる。

 

・ドングリはアクが強いため生で食べるのが難しいものの、アク抜きしたものは食用になる。岩手県野田村などでは、コナラやミズナラのドングリを粉にして作った「シダミダンゴ」が作られている。

 

・薪や炭として利用されたのは、伐採しても切り株さえ残していれば再生することや、材の火力が強く、火持ちが良いことによる。燃料が石油に代わるとその数は減少したが、日本人の庭に対する趣向が変わり、一般家庭でも観賞用の庭木として植えられるようになった。

 

・幹は単独で真っすぐに伸びるが、人為的に管理されて伐採を繰り返されたものは、複数の幹が株立ちになる。樹皮は灰褐色で、樹齢を重ねると縦にひび割れが入って白黒の縞模様に見えることが多い。

 

・コナラの幹の直径は最大で50~60センチほど。材はミズナラよりも硬くて重いため、イシナラという別名がある。上手に乾燥させないと狂いや割れが生じやすいため、建材としての流通量はミズナラよりも少ない。

 

【コナラの育て方のポイント】

・日当たりを好むが、半日陰程度なら耐えられる。

 

・乾燥に強い。

 

・樹勢が強く成長も早いため、あえて養分の少ない場所に植えて生育を抑えることがある。

 

・剪定に強いが、刈り込んで管理するような木ではない。自然樹形を楽しみたい。

 

・雌雄同株で数年おきに大量のドングリができる。

 

・木食い虫による「ナラ枯れ病」に罹患することや、カミキリムシ(シロスジカミキリ)の幼虫によって材を食害されることがある。また、クスサンやヤママユガなど、蛾の幼虫によって葉の食害を受け、時に丸坊主になることもある。

 

・オトシブミという甲虫は本種やクリの新葉で粽(ちまき)のような巣(揺籃)を作り、「落とし文」のように丸めた葉を切り落とす。オトシブミを観察できるのは5月下旬~6月上旬。

きくいむし,画像
キクイムシが侵入したコナラの木の様子
コナラ,葉,毛虫
葉は稀に毛虫の食害を受ける(画像はツマキシャチホコ)

 

【コナラの品種】 

・葉に模様の入る「斑入りコナラ」やドングリがなりやすい「一才コナラ」などがある。

コナラの種類,画像
葉に模様が入る「斑入りコナラ」もある

 

【コナラとクヌギの違い】

コナラとクヌギは共に雑木林を代表する樹木であり、混同されることが多いものの、葉の形や大きさは明らかに異なる。

見分け方,似ている
クノギ(上)コナラ(下)の葉

 

【コナラとミズナラの違い】

・ミズナラの葉はより大きく、葉の縁のギザギザが分かりやすい。また葉を上から見た場合、コナラには1~2センチほどの葉柄(葉と枝を結ぶ緑色の茎)が見えるが、ミズナラは短い葉柄が葉に埋もれ、枝から直に葉が生じているように見える。

水楢と小楢の見分け方
ミズナラの葉
小楢と大楢
コナラの葉柄(画像中央)

 

【コナラに似ている木】

 ミズナラ  クヌギ

 カシワ アベマキ ナラガシワ  

 

・ミヤマハハソ(ミヤマホウソ)

 本州、四国及び九州の山地に自生するアワブキ科の落葉低木。分類上の関連はないが、葉の形がコナラに似るため、コナラの古名であるハハソからミヤマハハソと名付けられた。花や果実はアワブキとほぼ同じ。

深山ははそ
ミヤマハハソの葉は長さ5~15センチで表面はザラつく

コナラの基本データ

 

【分類】ブナ科/コナラ属

    落葉広葉/高木 

【漢字】小楢(こなら)

【別名】イシナラ/ナラ/シダミ

    ホウソ/ハハソ

【学名】Quercus serrata

【英名】Konara Oak

【成長】やや早い

【移植】簡単(大木は難しい)

【高さ】10~20m

【用途】公園/雑木の庭/薪/炭

【値段】800円~

 

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