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ハイマツ/はいまつ/這松

Siberian dwarf pine

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豪雪や強風に耐えるよう横へと広がる
這松の木,新芽,ハイマツ,はいまつ
新芽(ミドリ)の様子
ハイマツの花,はいまつ,樹木
開花期の様子 
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雌花(受粉後)と若い球果
雄しべ,雄花,はいまつ
ハイマツの雄花(花粉を出した後)
Siberian dwarf pine
葉は5本一組で生じる五葉性
這松の葉,ハイマツ,はいまつ
側面には白い気孔帯が走る
はいまつ,這松,ハイマツ
樹高は1m程度
ハイマツの実,はいまつ
未熟な球果
はいまつ,まつぼっくり,ハイマツ
球果は枝に残った状態で翌春の芽吹きの時季を越え
Siberian dwarf pine
開花翌年の夏~秋に熟す
実,果実,はいまつ
ハイマツの球果
ハイマツ,はいまつ,種子,食べる
中に含まれる種子は食用となる
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秋には古い葉が自然に落下する
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主幹はなく、内部はゴチャゴチャしている

 

【ハイマツとは】

・北海道と中部以北の本州に分布するマツ科の常緑樹で、日本アルプス、千島列島、北海道、東北などの寒冷地に群生する。来歴には諸説あるが、北海道に分布するエゾハイマツが小型化してできたものとする説がある。

 

 

・ハイマツはいわゆる高山植物で森林限界以上に群生し、それより上には高木が育たないという指標「ハイマツ帯」を作る。日本以外でも東アジア各地の寒帯に分布。

 

 

・主となる幹がなく、複数の枝が地面を這うように伸びることから「這い松」と呼ばれる。ハイマツは生命力が強く、地面に接すれば枝先からでも根を生じ、元の幹が枯れても更新するという性質を持つ。

 

 

・庭木というよりは登山でお見掛けする木という位置付けだが、北海道や東北などでは稀に庭木として使われる。樹高を抑えて仕立てることができるため、和風庭園の添景やグラウンドカバーとして重宝する。 

 

 

・葉は長さ3~9センチほどの硬い針状だが、触れても痛くはない。断面は三角形で、側面に白い気孔帯があるため、遠目からは全体的に白っぽく見える。

 

 

・ハイマツの開花は夏(6~7月)で雌雄同株。その年に伸びた枝先に1~3個の雌花を、側面に多数の雄花を咲かせる。いずれも淡い紅紫色だが、雄花はより明るい色合いで、黄色い花粉を付ける。

 

 

・雌花の後には直径3~6センチの球果(まつぼっくり)ができ、開花翌年の夏~秋に成熟する。でき始めの球果は黒紫色だが、熟すと黒っぽい緑色となり、中に8~12ミリの黒い種子を含む。

 

 

・ロシアや北海道の先住民はこの種子を「ノム」あるいは「ヌム」と呼んで食用とし、市販品もある。種子にはアカマツクロマツに見られるような翼はなく、その拡散はリスやホシガラスなどの野生動物に依存する。

 

 

・若いハイマツの幹には赤褐色の短毛があるが、樹齢を重ねた樹皮は黒褐色となり、不規則に剥離する。ハイマツの材は曲がりが多くて建材には不向きなため、用途は器具や薪炭。

 

 

・樹高は1~2mほどだが、横方向への伸びが大きく、風の少ない場所では幅15mにも広がった例があるという。また、無風の場所では幹を縦方向に伸ばし、高さ10mを超えることもあるという。

 

 

【ハイマツの育て方のポイント】

・自生は高山の櫟地であり、用土には軽石など、水はけの良いものを使うのがよい。

 

 

・高温は苦手であり、夏は日除けなどを施して乾燥を防ぐ必要がある。風通しがよく涼しい場所でなければ育てるのは難しい。 

 

 

【ハイマツの品種】

 

・エゾハイマツ

 葉の長さが倍で、樹高も5m近くに立ち上がる。

 

 

・クビナガハイマツ

 球果の形がハイマツとは異なる。

 

 

・アイヅゴヨウ

 盆栽に使われる品種で、葉はゴヨウマツに似る。

 

 

【ハイマツに似ている木】

 

・モンタナハイマツ

 モンタナマツの矮性種(背が大きくならない)で、ヨーロッパ中南部を原産とする。日本に自生はないが、耐寒性が高いため北海道では街路樹などとして植栽されることが多い。 

もんたなはいまつ,樹木
モンタナハイマツ

ハイマツの基本データ

 

【分類】マツ科/マツ属

    常緑針葉/低木

【漢字】這松(はいまつ)

【別名】千畳松

【学名】Pinus pumila

【英名】Siberian dwarf pine

【成長】遅い

【移植】難しい

【高さ】0.5~1m

【用途】高山植物/盆栽

【値段】1500円~

 

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