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トドマツ/とどまつ/椴松

Sakhalin fir

とどまつの葉
北海道の人工林で最も多く植栽される
とどまつ,北海道に多い木
トドマツの新芽
トドマツ,とどまつ,樹木,画像
枝は斜上することが多い
とどまつ,トドマツ,マツボックリ
球果(まつぼっくり)は9月頃に熟す
椴松,樹木,とどまつ
樹高は最大で30mほどになる
とどまつ,トドマツの幹,画像
樹皮は灰褐色で滑らか 樹齢を重ねても変化は乏しい

【トドマツとは】

・北海道、千島列島及び樺太の海岸から深山まで広く自生するモミの仲間。材木用として人為的に植栽されたものも多い。円錐形の樹形や新緑の美しさから北海道では庭木として使われ、クリスマスツリーや門松になることもある。

 

・エゾマツと並ぶ北海道を代表する針葉樹であり、新緑はエゾマツ同様、花が咲いているかのように美しい。エゾマツがその雄大な樹形を男性に例えられる一方、トドマツは女性的とされる。

 

・トドマツの枝は水平または斜上し、葉は密生する。葉の先端が少し凹んで二つに見えることから「とどのつまりが先二つ」といわれる。葉は長さ2~3センチの線形。軸に沿って螺旋状に生じ、裏面には白い気孔帯が2本並ぶ。

 

・雌雄同株で、5~6月頃にあまり目立たない花が咲く。秋にできる実(マツボックリ)は藍色を帯びており鑑賞価値があるものの、熟すとバラバラになるため落下した物を拾うのは難しい。長さは5~7センチ、直径2~3センチほどの円筒形で枝の上にできる。

 

・トドマツは便宜上、アカトドマツとアオトドマツに分けることがあり、標準的なものをアカトドマツ、樹皮、材及び球果がやや変わったものをアオトドマツとしている。北海道でアカトドマツは東北部に、アオトドマツは西南部に多いが、中間種が多く、両者を厳密に区別するのは難しい。基本的にはアオトドマツの材は白色、アカトドマツの材は赤味を帯びる。

 

・樹皮は灰白色からやや褐色を帯び、凹凸はほとんどない。材は軽くて柔らかなため耐久性は不足するが、建材のほか、土木、パルプ、家具、ウッドチップ、梱包材、割り箸に使われ、樹液もエッセンシャルオイルなどに広く使われる。 

 

・トドマツという名前から海獣「トド」を連想するが、「トド」はアイヌ語の「トトロップ」が転じたもので、トドマツを意味する。また、漢字表記の「椴」は、年を追うごとに葉が一段ずつ積み上がっていくことによる。

 

【トドマツの育て方のポイント】

・寒冷地を好み、暖地では成長が悪くなるため庭木として使うのは北海道や東北地方に限られる。また、大気汚染などの公害にも弱いため都市部での生育は難しい。

 

・日陰に耐える陰樹であり、適度に湿った肥沃地を好む。

 

・弱めの剪定には耐えるが、基本的には剪定を好まない。放任して育てられる場所に植えるのがよい。弱めの剪定には耐える。

 

【トドマツに似た木】

・アオモリトドマツ(オオシラベ/オオシラビソ)

 

シラベ(シラビソ)

 いづれもトドマツによく似た樹種で本州北中部の高山に見られる。有名な蔵王の樹氷はアオモリトドマツでできている。

 

モミ

 

【エゾマツとトドマツの見分け方】

・上記のとおりトドマツの葉は先端がくぼんでおり、手で触れてもチクチクしない。一方、エゾマツは葉先が尖っており、触れると痛い。また、エゾマツのマツボックリは枝にぶら下がるようにできる点もトドマツとは異なる。

トドマツの基本データ

 

【分類】マツ/モミ属

    常緑針葉/高木

【漢字】椴松(とどまつ)

【別名】フップ(アイヌ語)

    アカトドマツ

【学名】Abies sachalinensis

    (Fr.Schm.)Masters

【英名】Sakhalin fir

【成長】始めは遅く、後に早くなる

【移植】やや難しい

【高さ】25m~35m

【用途】公園/盆栽

【値段】2000円~

 

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