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アカマツ/あかまつ/赤松
Japanese Red Pine
【アカマツとは】
・松茸や和風庭園の主役としてお馴染みのアカマツは、東アジアの山地を原産とするマツ科の常緑針葉樹。日本では北海道の南部から九州まで分布する。クロマツと共に日本を代表するマツだが、主に海沿いに見られるクロマツに比べ、枝葉に優しい印象があることから、別名を「女松/雌松(オンナマツ/メマツ)」という。
・若木の樹皮は白っぽい褐色だが、成長に伴って剥がれ落ち、樹齢10年を過ぎたころから幹が赤茶に見えるようになる。老木では根元付近の樹皮が黒褐色で亀の甲羅のように裂けるため、クロマツと見分けにくいが、幹の先端の方を見れば赤みを帯びていることが分かる。幹の直径は最大で1.5mほどになる。
・アカマツの葉は針状で、二本一組になっている。長さは7~12センチほどでクロマツよりもやや短い。葉は細くて柔らかく、触れてもクロマツのようにチクチクしない。
・あまり目立たないが、アカマツにも花が咲く。花の時期は4~5月で、花には雄雌がある。雄花は黄色で若い枝の下部に複数個咲き、雄花が咲き終える頃、赤紫色の雌花が日の当たる若枝の先端に1~3個咲く。雄花は比較的目立つが、雌花は数が少なく見付けにくい。
・まつぼっくりは長さ3センチから6センチ程度で、クロマツのものに比べるとやや小さい。乾燥すると松笠が開いて種子を飛ばすが、湿った状態では堅く閉じる。開花翌年の10月頃に成熟する。
・アカマツの材はスギより硬く、クロマツよりは柔らかい。心材と呼ばれる中心部は耐水性が高く、建築用材(特に家の梁)、杭などに幅広く使われる。また、材を薄くスライスした「経木」は戦後まで食品用の包装材に使われた。
・木全体に油分(松脂)が多く、濡れた枝でも細かくすれば簡単に火が付き、戦時中は根から油(松根油という)を採って照明用にすることもあった。樹皮や樹脂は漢方にも使われる。
・近年はマツクイムシによる松枯れ病が広がっており、天然の個体数は減少傾向にある。アカマツの減少に伴ってマツタケも減っており、国際自然保護連合は2020年にマツタケを準絶滅危惧種に指定している。
【育て方のポイント】
・古くから絵画や和歌の題材にされ、庭に一本あれば庭の風格が高まるが、素人には剪定が難しく、プロに頼めば維持費がかかる。
・いかにも和風のクロマツに比べれは洋風住宅でも違和感が少ない。
・通気性、排水性の良い土壌を好むが、環境への適応力はある。ただし、潮風や砂地は好まない。
・常緑とはいえ、大きな松であれば落ち葉の処理がやや面倒。
・日向を好み、日陰では育ちが悪い。
・マツノマダラカミキリ、モミノハダニ、マツカレハなど害虫の被害が見られるため、定期的な剪定や薬剤による予防が必要。
【アカマツの品種】
・アカマツには園芸品種、変種が多い。代表的なものにはタギョウショウやシダレアカマツ、ジャノメアカマツ、ウツクシマツなどがある。
【アカマツとクロマツの見分け方】
・クロマツは幹が暗褐色で新芽が白いのに対して、アカマツは幹が赤茶色で新芽は赤茶色。また、アカマツの葉は手で触れても痛くない。しかし、実際には両者の中間種(アイグロマツなど)もあって、明確に判別できないことも多い。
【アカマツに似ている木】
・ヨーロッパアカマツ(欧州赤松)
ヨーロッパの広い範囲に分布するマツ。北海道を中心に日本でも植栽が多い。アカマツよりも葉の色がくすんだ感じになり、灰色を帯びたように見える。また、アカマツの若い枝は褐色だが、ヨーロッパアカマツでは緑色になる。
・タイワンアカマツ(バビショウ)
中国南部及び台湾を原産とするマツ。葉はアカマツと同じように二本一組(稀に三本一組)で生じるが、長さが20センチ近くあり、その様子が馬のシッポに似るとして現地では馬尾松(バビショウ)と呼ばれる。マツボックリはアカマツよりも小さい。
アカマツの基本データ
【分類】マツ科/マツ属
常緑針葉/高木
【学名】Pinus densiflora
【別名】メマツ/オンナマツ
(雌松/女松)
【成長】早い
【移植】やや困難
【高さ】20m~35m
【用途】主木(シンボルツリー)
【値段】300円~