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カラタネオガタマ/からたねおがたま/唐種招霊

Banana shrub/Banana bush

トウオガタマ,花の香り
バナナの香りを放つ花は5月頃に咲く
からたねおがたまの木
葉芽と花芽(蕾)は同じように褐色の毛に包まれる
からたねおがたま,葉っぱ,とうおがたま
カラタネオガタマの葉
バナナの香りのする花の木
葉の裏面は特徴に乏しいが、葉脈は目立つ
とうおがたまの木
カラタネオガタマの蕾
バナナの木,からたねおがたま
縁の紫色が特徴的な蕾
トウオガタマの木の花
前年に伸びた枝葉の脇に一輪ずつ咲く
Banana shrub
花弁は少しずつ開き
Banana shrub,Banana bush,flower
このぐらい開くとモクレン科らしさが出る
Banana shrub,Banana bush,fruits
未熟な果実の様子
カラタネオガタマ,実,種子
果実が熟すのは10~11月
トウオガタマ,種子
熟すと鮮やかなオレンジ色になる
からたねおがたまの木,樹木図鑑
樹形は半円形となり、一見するとサザンカやモチノキに似る
とうおがたま,剪定の仕方
カラタネオガタマの剪定例
バナナの香りがする花の木,からたねおがたま
常緑樹だが秋に古い葉が変色することも
カラタネオガタマ 幹
樹皮の様子

【カラタネオガタマとは】

・中国南部(福建省及び広東省)を原産とするモクレン科の常緑樹。日本へ渡来したのは江戸時代中期~明治初期で、暖地の庭園や神社に植栽される。木に咲く花としては有数の芳香があり、園芸品種であるポートワインは庭木としての人気が高い。

 

・「カラタネ」は「空タネ」ではなく「唐種」で、中国種であることを意味する。これは本種が渡来する以前から日本の暖地に自生するオガタマノキと区別するもので、別名のトウオガタマ(漢字表記「唐招霊」)も由来は同じ。

 

・「オガタマ」は「招霊(オキタマ)」が転訛したもので、かつてオガタマノキと同じように神の依代として本種の葉を神前に供えたことによる。オガタマノキほど大きくならず管理しやすいこと、枝葉が密で花付きも良いことなどから、次第に一般家庭でも植栽されるようになった。

 

・カラタネオガタマの開花は5月~6月で花の直径は2~4センチほど。花の中央に軸があり、上段に雌しべが、下段には雄しべがそれぞれ多数ある。肉厚な花弁が6枚あるように見えるが、蕾の時に外側にあった3枚は萼で、内側の3枚が花弁(合わせて「花被」という)。

 

・花被はクリーム色だがフチは紅色で、その内側には紅紫のボカシが入る。花には熟したバナナに似た香りがあり、英語ではバナナブッシュと呼ばれる。かなり強い香りで好みは分かれるが、台湾ではこれを首飾りや簪(かんざし)などの装飾品に使う。

 

・花の後にできる果実はモクレンやコブシに似ており、10~11月に熟すと自然に裂けて朱色の種子が顔を出す。花数が多い割に果実の数は少なく、熟す前に風で落下するものも多い。

 

・葉はオガタマノキ同様に革質だが、長さ4~8センチ、幅2~3センチの楕円形で、より小さい。表面は濃緑色で光沢があり、雰囲気はサザンカモチノキに似るが、フチは緩やかに波打ち、裏面は淡い緑色になる。

 

・若い木の幹は緑色だが、樹齢を重ねると樹皮は灰白色となり、縦方向に皺を生じる。葉は枝から互い違いに生じ、幹は株立ち状になることが多いため、枝葉は密生しやすい。若い枝や葉柄には褐色の細毛を生じるのが特徴。

 

【カラタネオガタマの育て方のポイント】

・寒さにやや弱く、特に冬の乾いた寒風を嫌う。地植えは関東以南の太平洋側が無難。寒風に晒されると葉が黄変することや、花が咲かずに蕾のまま落下することがある。

 

・植栽の適地であっても霜の降りる地域では、冬季に枝葉を寒冷紗で覆うなどの防寒対策を施すとなおよい。北海道や東北地方では鉢植えで育てるのが普通。

 

・日当たりのよい場所を好むため、建物の南側に植えるとよい。日陰でも育ち、半日陰程度なら花も咲くが、まったくの日陰では花付きが悪い。

 

・土質は選ばないが、排水性がよく腐植質に富む土壌を好む。水はけの悪い場所では根腐れを起こしやすいため、植穴には完熟した腐葉土や堆肥を入れてよく混ぜ、高めに植え付ける。

 

・成長は遅めで、樹形は自然に整いやすい。花が咲く垣根としてはあまり剪定の手間がかからず、病害虫の被害も少ないが、風通しや採光が悪くなるとカイガラムシやテッポウムシが発生する。このため年に一回程度は内部の混み入った枝葉を整理した方がよい。剪定時期は開花直後の6月。

 

・日向に植えて適期に剪定すれば開花するが、開花後に油粕や骨粉などの有機肥料を少量与えると花付きが良くなる。花が咲かない理由として考えられるのは、窒素系の肥料を過度に与えることや、寒風に晒すこと。

 

【カラタネオガタマの品種】

・ベニバナカラタネオガタマ 

 紫色の花を咲かせる品種で枝は細く、花や葉は原種よりも小さい。パープルクイーンやポートワインといった商品名で流通する。

 

・アルスピック

 花や葉が大きい品種で園芸用に出回る。 

ポートワイン,からたねがたま
紫の花が咲く品種もある

【カラタネオガタマに似た木】

ギンコウボク

 中国南部、インドネシア及びフィリピンなどの熱帯アジアを原産とするモクレンの仲間。カラタネオガタマと同じように香りのある白い花を咲かせる。

 

ミケリア

 同じく中国を原産地とするモクレンの仲間。いくつかの品種があるが「深山含笑」という品種は、カラタネオガタマの中国名「含笑花(あるいは含笑)」に通じる。中国では庭木として広く普及している。

 

【オガタマノキとの違い】  

・似たように扱われるが、見た目からして、まったく異なるので混乱することはない。オガタマノキは大木であり、葉も長さ10センチ程度で、カラタネオガタマとは比較にならないほど大きい。一方、花は葉に埋もれるように咲き、目立たない。色は純白に近く、香りはほとんどない。

カラタネオガタマの基本データ

 

【分類】モクレン科/モクレン属

     常緑広葉/小高木

【漢字】唐種招霊(からたねおがたま) 

【別名】トウオガタマ(唐小賀玉)

    バナナノキ/バナナブッシュ

    バナナツリー

    ポートワイン(紅花)    

【学名】Magnolia figo

【英名】Banana shrub

【成長】やや遅い

【移植】やや難しい

【高さ】3m~5m

【用途】花木/シンボルツリー/垣根/公園

【値段】800円~