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カラタチバナ/からたちばな/唐橘
Spear flower
【カラタチバナとは】
・関東以西の本州、四国、九州及び沖縄に分布するヤブコウジの仲間。秋から冬にかけて艶やかな赤い実がなるため、マンリョウ、センリョウ、ヤブコウジなどと共に冬の庭を彩る植物として、和風庭園の下草として使われることも多い。
・カラタチバナという名前は、花がミカン科のタチバナに似ること、庭木として使われるようになった当初は、中国(唐)から渡来したものと誤解されていたことによる。庭師の間では単に「タチバナ」と呼ばれることもあるが、別名のヒャクリョウ(百両)がより知られる。
・ヒャクリョウという名は、マンリョウやセンリョウよりも実の数が少ないことに由来し、果実はそれらに比べるとまばらになるが、本種よりも実が少ないイチリョウ(アリドオシ)やジュウリョウ(ヤブコウジ)、あるいはマンリョウよりも縁起が良いとされるオクリョウ(ミヤマシキミ)もある。
・カラタチバナの開花は7~8月。葉の脇から斜上する花序に、10輪ほどがまとまって咲く。花は直径7~8ミリの合弁花で、花先は深く五つに裂けて反り返り、5本の雄しべと1本の雌しべがある。
・果実は直径7mmほどの球形で11月頃に熟す。鳥が食べなければ翌年の4月頃まで枝に残ることから、代々橘(ダイダイタチバナ)といった別名もある。
・実の色、葉の形や模様に個体差が大きく、園芸品種も多い。品種改良が盛んだったのは江戸時代で、現存しない品種もある。
【カラタチバナの育て方のポイント】
・自然環境では常緑樹林の薄暗い場所に自生しており、庭園においても高木の下など直射日光があたらない場所が良い。
・マンリョウなどに比べると、やや耐寒性は低いが、関東以西であれば問題なく地植えできる。
・樹形は単純で枝分かれせず、マンリョウと同じように主幹が直立する。あくまでも実を楽しむ庭木とする。
・連作障害が起きやすく、マンリョウ、ヤブコウジを含めて同類の植物が育った跡地では生育が悪い。
【カラタチバナの園芸品種】
・シロミタチバナ
果実が白色の品種
・キミタチバナ
果実が黄色い品種。なお、赤い実がなる品種は赤橘、黄色い実がなるものは金橘と呼んで区別することもある。
カラタチバナの基本データ
【分類】サクラソウ科/ヤブコウジ属
常緑広葉/低木
【漢字】唐橘(からたちばな)
【別名】ヒャクリョウ/コウジ
タチバナ/ダイダイタチバナ
【学名】Ardisia crispa
【英名】Spear flower
【成長】遅い
【移植】やや難しい
【高さ】0.2m~1m
【用途】庭木/鉢植え
【値段】1000円~