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マンリョウ/まんりょう/万両

Coralberry

まんりょう,マンリョウ,赤い実
手入れに手間がかからず、気軽に育てられる
まんりょう,万両,特徴
鳥の糞によって広がり、こんな岩地や・・・
万両,植木
巨木の股などにも生える
Coralberry,leaf,picture
葉は質が厚く、表面は濃緑色
まんりょう,万両,植物
裏面は淡い緑色で、細かな腺点がある
マンリョウ,ツボミ,まんりょう
マンリョウの蕾
まんりょう,マンリョウ,開花時期
小さな花が夏に咲く
雌しべ,雄しべ
中心部にある雌しべが長く突き出る
まんりょう,万両の赤い実
未熟な果実の様子
ハナタチバナ,ヤブタチバナ,まんりょう
マンリョウの実が赤く熟すのは10~11月
まんりょう,赤い実
果実の直径は6~7ミリ
マンリョウの木
実生のマンリョウは薄暗い場所で、大きめの葉をつける
万両,まんりょう,樹木図鑑
下の葉を落としながら樹高1mくらいになる
まんりょう,植物
幹には古い葉の跡が残る

【マンリョウとは】

・東アジアの広い範囲に見られるサクラソウ科の常緑低木。日本では茨城県以南の太平洋岸と鳥取県以南の日本海岸に分布する。自生は常緑樹の林内が多く、かなりの日陰にも耐えるため、昔から和風庭園の下草として使われる。

 

・秋から冬になる赤い実は艶やかで美しく、鉢物としてセンリョウなど共に正月飾りに用いられる。中国名は「百両金」「黄金万両」「朱砂根(しゅさこん)」で、日本では江戸時代初期まで「アカキ」と呼ばれていたが、同じように赤い実をつけるセンリョウより美しく価値が高いとして、江戸時代中期以降から万両と称されるようになった。

 

・冬季に赤い実がなる植物で、お金にちなんだものには他に百両(カラタチバナ)、十両(ヤブコウジ)、一両(アリドオシ)がある。アリドオシはマンリョウとセンリョウと共に植え、「千両、万両、有り通し(お金がいつもあるの意)」と縁起を担ぐことで知られる。

 

・葉は長さ4~12センチほどの長楕円形。葉は縁がシワシワに波打つのが特徴で、乾燥するとかなり幅が狭くなる。また、日向では葉の表面に光沢が出るものの、日陰では光沢が乏しく、形も平板かつ大型になりやすい。茎(幹)は直立し、上部でわずかに分岐。葉は枝から互い違いに生じる。

 

・マンリョウの開花は7~8月。枝先の葉の脇にピンクがかった白い小花を5~10輪ずつ咲かせる。花は直径8ミリほどの合弁花で花冠は五つに裂けて反り返り、中央にある雌しべが突き出す。花はうつむきがちで目立たないが、よく見ると可憐で美しい。

 

・花の後にできる果実は直径6~8ミリの球形。でき始めは開花期と重なり、花と実を同時に見ることができるが緑色。寒さが深まるにつれて赤さと光沢を増し11月頃に熟す。観賞時期にはヒヨドリやメジロなどに食べられてしまうことも多いが、運が良ければ翌年の2月頃まで枝に残る。味は青臭くて食用にならない。

 

・実が白い「シロミノマンリョウ」という種類があり、縁起を担いで紅白併せて植栽されることも多い。シロミノとはいえ実際のところ、クリーム色に近く、キミノマンリョウ(黄実の万両)という言い方もある。

 

【マンリョウの育て方のポイント】

・日陰から半日陰を好み、薄暗い場所では葉を大きく広げて育つ。日向でも育てられるが、日差しや乾燥が強いと葉の縁が巻き上がり、葉の色も多少悪くなる。 

 

・剪定の必要がなく、手間がかからない。(芽を出す力が弱く、剪定には向かない。) 

 

・いわゆる「忌地植物」であり、他の植物が育った後の痩せた土地では生育がやや悪い。また、根が真下にしか伸びず、細根が少ないため、大きくなったマンリョウの移植は難しい。一方、実生によって簡単に増やすことができ、実を食べた鳥が糞をすることで思わぬ場所に増殖する「野良マンリョウ」が多い。

 

【センリョウとマンリョウの違い】

センリョウと混同されることがあるが、センリョウの実は葉の上で穂状に、マンリョウの実は葉の下に隠れるようにできる。また、葉の形も異なる。センリョウは切花に使われるが、マンリョウは実が葉の下に隠れてしまうため使いにくい。

 

【マンリョウの品種】 

・江戸時代にはマンリョウの品種改良が流行し、葉の色形の微妙な違いを楽しんだ。現代ではそれほどの隆盛はないが、名残としていくつかの品種が残る。代表的なものは、白い実がなるシロミノマンリョウ、実が大きいオオマンリョウ(宝船)、紅葉する「紅孔雀」、葉に模様が入る「千鳥」など。

白い実の万両
白い実をつけるシロミノマンリョウ
万両,紅白,実,まんりょう
紅白を寄植して縁起を担ぐことも多い 
万両 種類
葉に模様が入る品種もある
まんりょう,万両,種類,葉が赤い
こんな色の品種もある(紅孔雀)

 

【マンリョウに似た植物】

・ツルマンリョウ(ツルアカミノキ)

 サクラソウ科ツルマンリョウ属の常緑小低木で、屋久島と本州の一部(奈良、広島、山口など)に自生する。大正時代に奈良県で発見され、ツルマンリョウと名付けられたが、他物に巻き付かず林床を這うように育つ。

 

・このほかマンリョウの仲間には、ツルコウジ、オオツルコウジ、シナヤブコウジ、カラタチバナ、シシアクチ、モクタチバナ、ヤブコウジがある。

マンリョウの基本データ

 

【分類】サクラソウ科/ヤブコウジ属

    常緑広葉/低木

【漢字】万両(まんりょう)   

【別名】ハナタチバナ/ヤブタチバナ

    アカキ/アカギ

【学名】Ardisia crenata  

【英名】Coralberry

【成長】やや遅い 

【移植】簡単 

【高さ】0.3m~1m 

【用途】下草/和風庭園/鉢植え 

【値段】300円~

 

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