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カナメモチ/かなめもち/要黐
Japanese photinia
【カナメモチとは】
・沖縄を除く中部地方以南の各地に分布するバラ科の常緑広葉樹。山地の沢沿いや海辺の丘陵で稀に見られる。赤みを帯びた新芽や光沢のある葉が美しく、庭木として垣根などに使われることが多い。
・名前の由来には、葉がモチノキに似て、材質が堅く、扇子の要(かなめ)や骨に使われたことに由来するという説と、赤い芽のモチを意味する「アカメモチ」からの転訛とする説がある。
・葉は長楕円形で先端が尖り、縁のギザギザが目立つ。モチノキよりも革質で大きく、枝から互い違いに生じる。垣根に多用されるレッドロビンは本種とオオカナメモチの交配種で、本種よりも葉が大きく、新葉の赤味がより鮮明になる。見分けるのは難しく、専門業者も混同している場合がある。
・カナメモチの開花は初夏(5~6月)で、小枝の先に直径10センチほどの傘形をした花序ができる。花序は小さな花の集りで、それぞれの小花には5枚の白い花弁と2本の雌しべがあり、その周囲を多数の雄しべが囲む。花はソバの花に似ており、「枕草子」(清少納言)では本種をソバノキと呼んでいる。
・花の後には直径5mm弱の楕円形の果実がなり、11~12月になると赤く熟す。果実は堅くて無味だが、他に木の実が少なくなる初冬にはヒヨドリ、ツグミ、メジロ、カワラヒワなどがこれを採食する。しかし、普通は垣根などに使われ、頻繁に剪定されるため、街中にあふれているわりには果実や花を目にする機会が少ない。
・硬質なカナメモチの材は鎌の柄などの道具、車軸などにも使われる。
【カナメモチの育て方のポイント】
・基本的には日向を好むが、半日陰でもよく育つ。ただし、日陰では新芽がきれいな赤にならないことが多い。
・肥沃な土を好む。土質が悪いと育ちが悪いため、あらかじめ植穴には鶏糞、腐葉土等の有機質肥料を入れる。
・成長が早いため、マメに剪定する必要があるが、上記のとおり材質は硬いため手入れは多少しにくい。また、樹形は乱れやすく、単独で植えた場合は樹形をまとめにくい。
・寒さに弱く、降雪地帯では育てられない。
・根頭がん種病、斑点病など病気が多い。本種よりもレッドロビンの方が病気や害虫に強い。
【カナメモチの種類】
・ベニカナメモチ(アカメモチ)
カナメモチのうち特に新葉の紅が美しいものを品種として扱う場合がある。
本州では西日本のごく一部に自生する種で、カナメモチの倍ほどの大きさの葉を持つ。希少種であり公園や庭園で見かけることは稀。奄美大島、沖縄、台湾、フィリピンなどにも自生する。
・五色の彩
葉に模様が入るカナメモチの園芸品種で、新芽は御覧のように蛍光ピンクのようになる。和風の印象が強いカナメモチだが、これならば洋風住宅にも違和感なく使用できる。ただし、主張が強いため好みは分かれる。
カナメモチの基本データ
【分類】バラ科/カナメモチ属
常緑広葉/小高木
【漢字】要黐(かなめもち)
【別名】アカメモチ/ベニカナメ
ソバノキ/扇骨木
【学名】Photinia glabra
【英名】Japanese photinia
【成長】やや早い
【移植】やや難しい
【高さ】5m~10m
【用途】垣根/公園
【値段】500円~