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イスノキ/いすのき/柞の木
Isu tree
【イスノキとは】
・関東地方ではあまり馴染みのない木だが、本州西南部、四国、九州に分布するマンサク科の常緑高木で、関西地方以西では垣根や防風林などに使われる。
・自生は九州南部や沖縄の沿岸部が多かったが、材木としての価値が高かったため伐採が進み、その数は減少している。日本以外では台湾や済州島及び中国大陸に分布する。
・3~5月に雄花と雌花が一緒になった赤い花を咲かせ、晩夏から秋にかけて画像のような実ができるものの、それらにはさほど観賞価値はない。ワイルドな樹形や樹齢を重ねて鱗状に剥離した樹皮が野趣に富むとして、雑木風の庭に使われることもある。
・イスノキという名は沖縄の方言によるという説があるものの、詳細は不明である。地方名が多く、別名ユスノキを「結寿の木」とあてて縁起の良い木とする場合がある。中国名は「蚊母樹(ぶんぼじゅ)」で、後述の虫こぶに由来する。
・葉の表面にはヤノイスアブラムシやダニが寄生し、風変わりな「虫こぶ(虫えい、五倍子ともいう)」ができる。 この「虫こぶ」を笛にして吹くと「ヒョン・ヒョン」と音が鳴ることで別名ヒョンノキがある。
・葉自体は特徴に乏しく、縁のギザギザや毛がない上、先端が尖る葉と丸い葉があるなど、虫こぶがなければ見分けにくい。長さは3~8センチ、幅は2~3センチほどで枝から互い違いに生じる。庭木として多用されるモチノキやモッコクに似た雰囲気を持ち、光沢と厚みがある。
・イスノキの材は比重が1.0前後で、中には水に沈むものもある。カシやリュウキュウコクタンと並んで日本有数の重さと硬さ(=緻密さ)を持つ。その上、肌目が美しいため、高級な木刀や小刀、床柱などの建材、そろばん、櫛、三味線や三線の棹、拍子木などに利用される。特に芯材は「スヌケ」と呼ばれ珍重される。また、樹皮と葉の灰は「いすばい」といい、有田焼の釉薬として使われる。
【育て方のポイント】
・成長が遅く、日陰や痩せ地でも生育可能とあって日陰の垣根や人が入りにくい場所の植え込みに適している。
・丈夫な性質を持ち、特に土質にこだわる必要はない。 病害虫や強風、潮風にも強い。
・庭に植えると山野の雰囲気を出すことができるものの、放任すれば直径1mを超える大木になるため、垣根以外に用途は少ない。一般家庭よりは公園や山地へ植栽することが多い。
・萌芽力があり刈り込みに強いものの、樹形が乱れやすく、剪定にはややコツがいる。
・そもそも「虫こぶ」が気持ち悪いという方には不向き。
・繁殖は実生、挿し木、接ぎ木による。
【イスノキの品種】
・葉に模様が入る斑入りイスノキ(初霜など)や枝が垂れるシダレイスノキがある。シダレイスノキは鹿児島で発見された品種であり、常緑樹の枝垂れは珍しいため価値があるとされる。
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イスノキ 初霜 「☆」 |
イスノキの基本データ
【分類】マンサク科/イスノキ属
常緑広葉/高木
【学名】Distylium racemosum
【別名】イボノキ/イス/ユスノキ
ユシギ/ユシノキ/ユス
クシノキ/ヒョンノキ/サルブエ
【成長】やや遅い
【移植】簡単
【高さ】8m~20m
【用途】生垣、街路樹
【値段】1000円~
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管理人 (木曜日, 12 4月 2018 21:26)
もりやんさん、コメントありがとうございます。虫こぶはイスノキのシンボルくらいに思っていましたが、ご自宅であれば不快でしょうね。浸透性有機リン系であればどれでもよいと思いますが、根元というよりは患部に散布するのがよろしいのでは。また、今ならば薬剤ではなく、患部を切除するという方法もありますね。ちなみに虫こぶを作っているヤエイスアブラムシは、コナラとイスノキを行ったり来たりしているのです。
もりやん (水曜日, 11 4月 2018 20:37)
新芽が芽吹きウキウキ気分でいたのもつかの間、虫コブが・・・。
遅まきながら、明日モスピランを根元に撒くとしよぅ
これぞと言うのがありますでしょうか?