庭木図鑑 植木ペディア > ギョリュウ
ギョリュウ/ぎょりゅう/御柳
Juniper tamarix
【ギョリュウとは】
・中国北部を原産とする落葉小高木で、タマリスクともいう。中国では唐の時代から庭園に使われ、白楽天や杜甫の詩にも度々登場し、楊貴妃が愛した花木としても知られる。
・日本へ渡来したのは享保年間(1741~1744年)のこと。シダレヤナギに似た風流な様子が好まれ、観賞用として庭木、生け花、盆栽などに使われる。漢字表記は「御柳」でヤナギの木に通じる。
・開花は5月と8~9月の年二回。前者は前年の枝により大きな花を咲かせるが、実はならない。後者は当年の枝に咲くもので花後に結実する。花はいずれも薄ピンク色で、花弁よりも長い雄しべを持つのが特徴。遠目からは清楚な印象を受けるが、とても小さな花であり、それほどの観賞価値はない。原産地の中国では「紅柳」あるいは、年に3回も花が咲くことにちなんで「三春柳」という名前がある。
・秋にできる実は長さ3ミリほど。熟すと三つに裂け、中から毛のある種子が飛び出す。
・幹は直立するが、枝の先端は垂れ下がり、そこに長さ1~3ミリほどの針状の葉が密生する。葉はコニファーに似ており、針葉樹にしか見えないが、広葉樹に分類される。当年の枝には、冬季に落下するものと、そのまま越冬するものの2種類が混在する。
・樹皮は暗い褐色で、縦に模様が入ることも。幹の直径は最大で1.5mほどになる。
【育て方のポイント】
・日向を好む陽樹であり、日陰では葉が枯れこむなど育ちが悪い。
・湿気を好み、根元が水に埋まるような場所でも育つほど。水やりを欠かさなければ乾燥しやすい場所でも育てることができる。
・耐潮性が高く、海水が入り込むような場所でも育てられるため、海岸の埋め立て地でも使える。
・冬季に霜に遭うと小枝は黄色くなって落下する。
・枝葉が重なり合うように生じ、樹形はまとまりにくい。剪定に耐えるが、太い枝の剪定は他の落葉樹と同様、冬季に行うのがよい。
・比較的、病害虫に強いが、テッポウムシの被害に遭うことも。
ギョリュウの基本データ
【分類】ギョリュウ科 ギョリュウ属
落葉広葉 小高木
【学名】Tamarix chinensis Lour.
【別名】サツキギョリュウ/三春柳/雨師柳
カンノンヤナギ/シダレヤナギ
【成長】やや早い
【移植】普通
【高さ】6~8m
【用途】公園/生け花/盆栽
【値段】2,000円~