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キハダ/きはだ/黄膚・黄檗
Amur Corktree
【キハダとは】
・北海道から九州までの広い範囲に分布するミカン科の落葉樹。日本のほか、中国及びロシアの国境(ウスリー、アムール)や朝鮮半島にも見られる。
・幹や枝を外から眺める分には分からないが、幹の下にある皮(内皮)が黄色いことからキハダと命名された。幼木の幹は滑らかで幾分、黄色がかっているが、成長するとコルク質が発達してボコボコになり、画像のような独特の紋様を形成する。そのユニークさから「木肌」と呼んでもよさそうである。
・幹の内皮は「黄檗(黄柏)」の名で知られる。ベルベリンという物質が含まれ、非常に苦味があるが、これにアオキの葉を加えて煮詰めたものが胃腸薬となり、「陀羅尼助」「練熊」「御百草」「熊胆」などの名称で各地に伝わっている。また、黄檗に酢と卵の白身を混ぜて練り合わせたものが、かつては湿布薬に使われた。
・江戸時代には重要な薬用樹として保護されていたが、明治になって乱伐が進み、個体数は激減した。庭木としての利用も稀であったが、近年は何かと話題性があるため、苗木を新たに植えることも増えてきた。
・葉は2~6組の小葉が対になって羽根状になる。小葉は楕円形で先端が尖り、長さ5~12センチ、幅3~5センチほど。枝や葉に独特の臭みがあるが、他のミカン科の植物同様に蝶が好んで食べる(特にミヤマカラスアゲハ)。
・雌雄異株で夏(6~7月)になると雄の木には雄花が、雌の木には雌花が咲くものの、小さくて目立たない。晩夏から初秋にかけてできる直径1センチほどの果実は芳香があり、甘いものは生食できる。
・幹の直径は最大で1mほどになる。材木としては優良であり、ケヤキに似た色味が好まれて建材、家具材、江戸指物などの工芸品等に使われる。また、黄色い内皮は衣類の染料として飛鳥時代から使われ、和紙をキハダで染めた黄檗紙は防虫効果があるため戸籍や写本に使われた。
【育て方のポイント】
・自然界では湿気のある山奥に自生し、肥沃な土地を好む。
・日向を好むが半日陰程度なら十分に耐え、丈夫に育つ。ほとんど手がかからないが、大木になるため、植える場所は考慮する必要がある。
・枝の出方が粗いため、樹形を鑑賞するような木ではない。
【キハダの品種】
・ヒロハノキハダ、オオバノキハダ、ミヤマキハダなどがある。
【キハダに似ている木】
・ニガキ
同じように樹皮に苦みがあり、材が黄色い。
・ゴシュユ
中国を原産とするミカン科の落葉樹で、果実を漢方に用いる。
キハダの基本データ
【分類】ミカン科 キハダ属
落葉広葉 高木
【学名】Phellodendron amurense
【別名】オウバク/キワダ/シコロ
ヒロハノキハダ
【成長】早い
【移植】簡単
【高さ】20m~25m
【用途】薬用/寺社
【値段】1000円~