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ガクアジサイ/がくあじさい/額紫陽花
Lacecap hydrangea
【ガクアジサイとは】
・アジサイ科に属する日本固有の落葉低木。太平洋沿いの限られた暖地(伊豆半島、三浦半島、房総半島、足摺岬、伊豆諸島、硫黄列島、和歌山県の神島)で稀に自生する。
・初夏に咲く清楚な花が美しく、観賞用の庭木としては全国に広く普及している。いわゆる普通のアジサイも本種を原種としており、かつては本種をアジサイと呼んでいた。流通量の増えているセイヨウアジサイも、本種が中国を経由してヨーロッパへ渡り、そこで品種改良されてできたもの。
・花びらのように見える白いものは、萼(がく)という器官が花びら状に変化したもので、装飾花と呼ばれる。花はごく小さな花が密集してできており、装飾花を額縁に見立ててガクアジサイと呼ばれる。ちなみに普通のアジサイは、ほぼ全てが装飾花になっている。
・開花時期は5~7月。中心にある本当の花の色は、藍色が基本だが、ピンク、白、紫のバリエーションがあり、いずれも色の濃淡には個体差がある。
・花は両性花で10本の雄しべと3~4本の花柱があり、小さいながらも花弁の5片ある。花の期間はアジサイより長い。アジサイと同様に酸性土壌では花が青系に、アルカリ土壌では赤系になりやすいといわれる。
・花の後には小さな果実がたくさんできて、秋になると褐色に熟す。ガクアジサイが庭に一株あれば、種子がこぼれて自然に繁殖するほど、その繁殖力は高い。
・葉は直径10~15センチの卵形で縁にギザギザがある。葉の表面は濃い緑色で光沢があり、両面とも毛は生じない。よく似たヤマアジサイの葉はより小さくて、裏面に毛がある、また、北海道に多いエゾアジサイの葉はガクアジサイに近い卵形だが、裏面に毛がある。
・民間療法では、ガクアジサイを含むアジサイの葉や花を乾燥させたものを解熱剤として使うが、これらを生で食べると腹痛や嘔吐、めまいなどの症状が出る可能性があり、口にしない方がよい。
【育て方のポイント】
・自生地は温暖な海岸沿いの山地だが、北海道南部から九州まで広い範囲に適応する。一般的なアジサイのイメージとは異なり、日向を好むが、日陰や湿地でも問題なく育つ。
・幹は太く、群生するように伸び、樹形は半球状になる。枝が見えなくなるほど葉が茂らせるため、通風や日照が悪くなって病害虫の被害に遭うことが多い。剪定に耐えるため定期的に剪定したい。ただし、花は今年伸びた枝に咲くため、春に剪定するのは避けたい。
【ガクアジサイの園芸品種】
・フイリガクアジサイ~葉に模様が入る品種
・ベニガク~花がピンク色の品種
・スミダノハナビ(隅田の花火)~純白の花が美しく人気が高い品種
・このほか、マリンブルー、七段花、清澄沢、エゾガクアジサイ、フラウハルコ、フラウタイコ、フラウヨシミなどの品種がある。近年人気のカシワバアジサイもガクアジサイの一品種。
ガクアジサイの基本データ
【分類】ユキノシタ科 アジサイ属
落葉広葉 低木
【学名】Hydrangea macrophylla
var.normalis
【別名】ガクバナ/ガク/ガクソウ
アジサイ/アズサイ
【成長】早い
【移植】簡単
【高さ】2m~3m
【用途】花木/公園/切花
【値段】800円~