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カンヒザクラ/かんひざくら/寒緋桜
Taiwan cherry tree
【カンヒザクラとは】
・台湾や中国南部に見られるバラ科サクラ属の落葉樹。江戸時代に本州へ伝わり、暖地の庭園、街路及び公園などに植栽され、園芸品種も多い。日本では最も早く開花情報が出されるサクラの一つであり、関東地方に植栽されたものは3月上旬から中旬まで開花する。
・沖縄でサクラといえばこの種を指し、1月~2月に開花することから「元日桜」との別名がある。沖縄では山間にも見られるが自生なのか、人為的に持ち込まれたものが野生化したものなのかは判っていない。ただし、石垣島にある自生地は国の天然記念物に指定されている。
・正式には「ヒカンザクラ(緋寒桜)」であるが、別種「彼岸桜」との混同を避けるため「カンヒザクラ」とすることが多く、筆者もその例に倣った。漢字表記は「寒緋桜」で、寒い時期に緋色(鮮やかな赤)の花が咲くことから。
・開花は葉が展開する前で、釣鐘状の花は全開せず半開きのまま萼筒ごと落下する。ソメイヨシノなど一般的なサクラと異なるため、「変わった梅だねえ」などと、勘違いされやすい。花には蜜が多く、メジロなどの野鳥が信じられないほど集まる。
・前年に伸びた枝葉の脇に直径2センチほどの花が2~3輪ずつ下向きに咲く。5枚ある花弁は紅紫色。その基部にある萼筒はさらに色の濃い紅紫色で先端は五つに裂ける。花の後には球形の果実(サクランボ)ができ、5~6月になると紅紫色に熟す。
・カンヒザクラの葉は長さ7~10センチの卵型あるいは長楕円形。質厚で先端は細長く伸び、縁にはギザギザが多い。葉の表面は光沢のある濃緑色だが、裏面は白っぽく、枝から互い違いに生じる。秋には紅葉するがその期間は短く、それ自体に観賞価値は乏しい。
・台湾を中心に園芸品種が多い。日本で「~カンザクラ」と呼んでいるものは本種を片親にしているケースが多い。
【カンヒザクラの育て方のポイント】
・サクラの仲間では小さくまとまりやすく、花が少ない時季に存在感のある花を咲かせるため庭木に向いている。
・扱いは他のサクラ類と同様だが、上述のとおり亜熱帯に近い暖帯に分布するもの。寒さに弱く、庭植えで扱えるのは関東地方よりも南となる。落葉は早く、初秋と言わず晩夏に葉を落とすことがあり驚かされるが特に対策を施す必要はない。
・樹形は半球形に育つのが普通。剪定は必要最低限にとどめる。
・花に密が多く、シジュウカラなどの野鳥が花を丸ごともぎ取ることがある。
【カンヒザクラの品種】
・ヤエカンヒザクラ
原種よりも派手な八重咲きになる品種
・リュウキュウカンヒザクラ
花色がより淡く、花弁がやや平開する園芸品種
カンヒザクラの基本データ
【分類】バラ科 サクラ属
落葉広葉 小高木
【漢字】寒緋桜(かんひざくら)
【別名】緋寒桜/元日桜/薩摩緋桜
タイワンヒザクラ
【学名】Cerasus campanulata
【英名】Taiwan cherry tree
【成長】やや早い
【移植】やや難しい
【高さ】5m~8m
【用途】庭園/公園/街路樹/盆栽
【値段】1、000円~