カリン/かりん/花梨

Chinese quince tree

花梨,かりんの木,果実,画像
大きなレモンのような実は生では食べられず 龍角散のど飴などに使われる
かりん,木
ツボミと新葉の様子
かりんの木,画像
新葉は赤みを帯び、細かな毛がある
カリン,花木
華やかな花だが香りはない
カリンの開花時期
開花時期は4月で、薄ピンク色の五弁
かりんの木,開花時期,特徴
カリンの花
カリンの木の花,画像
花の頃は木全体がピンク色に見える
かりんの木,新芽,枯れる
新葉には赤みが残る
花梨の葉っぱ,画像
カリンの葉は縁にギザギザがある
カリンの木,葉
裏面の様子
chinese quince tree
新緑の頃の様子
かりんの木の実,実,食べられる
でき始めの実の様子
花梨の実,画像
未熟な実は上向きで、ユニークな雰囲気に
chinese quince tree,fruits
実が熟す頃には台風で落下することが多い
花梨,紅葉,画像
紅葉の頃の様子
かりんの木
黄葉の様子
カリンの実,食べる
こうした景色が最もカリンの魅力を引き出す
かりんの木,樹形,剪定例
樹形は狭い円柱状になりやすい
chinese quince tree
枝にはトゲ状のものがある
カリンの樹皮
年を経るにつれて樹皮が剥離する
蝉と花梨
樹皮の内側はプラタナスのような緑色
カリンの盆栽
実がなる盆栽として人気がある

【カリンとは】

・中国を原産とするバラ科の落葉高木で、甲信越地方や東北地方では庭木として数多く植栽されている。日本へ渡来した時期や経緯は不明だが、寛永11年(1634年)頃、長崎に移入されたという記録が残る。

 

・春にはボケに似た花を咲かせ、初夏の新緑や秋の紅葉が美しく、冬には黄色い果実が冬枯れの庭を彩るため、古くから寺院などの庭木や街路樹に用いられる。また、樹齢と共に剥がれ落ちる樹皮にも観賞価値があり、実のなる盆栽としても知られる。

 

・カリンの開花は3~5月で、葉の展開とほぼ同時。淡いピンク色の花が短枝の上部に一輪ずつ咲く。直径2~3センチの五弁花で香りはほとんどない。ボケの花に比べると花弁が落ちやすく、色合いも淡いため見栄えがしないとされるが、新緑の淡い緑とのコントラストは美しい。

 

・雌雄同株で花には雄花と両性花があり、雄花には雄しべが20本、両性花には雌しべ5本と雄しべ20本がある。両性花の後にできる果実(正確には偽果)は長さ10~15センチの扁平した球形。でき始めは緑色だが、10月頃に光沢のある黄色に熟す。表面はデコボコが多く、内部には黒褐色の種子が多数ある。

 

・果実は重さ200~500gにもなるが枝はしならず、遠目からはレモンが枝に突き刺さっているように見える。見た目はおいしそうだが木質で硬い上、酸味、渋みともに強く、生では食べられない。香りを楽しむ場合は、できるだけ完熟させてから収穫すると香りが強くなる。

 

・砂糖漬け、ジャム、ゼリー、カリン酒として使うのが一般的。のど飴や「加勢以多(かせいた)」などの製菓用にも使われる。江戸時代に貝原益軒が記した「大和本草」には、未熟なカキ100個の中にカリン1個を入れておくと、カキがよく熟すと記される。

 

・カリンの果実はボケの果実とともに生薬「木瓜」となる。輪切りにしたものを陰干しし、これを煎じて飲めば痰や咳止め、整腸、利尿、鎮痛に効果があるとされる。中国では古くから「アンズ一益、ナシ二益、カリン三益」といわれ、カリンの有用性が語り継がれている。

 

・葉は長さ4~8センチ、幅3~5センチの楕円形で枝から互い違いに生じる。硬質で先端が尖り、縁には細かなギザギザがある。表面は光沢のある濃緑色で新芽は赤みを帯び、裏面には始め綿毛があるが、後に脱落する。

 

・幹は直立し、直径は最大で30センチほどになるが、株立ち状になりやすく、双幹、三幹に仕立てたものもある。樹皮は滑らかだが樹齢と共に樹皮が鱗状に剥がれ落ち、緑がかった褐色のまだら模様になる。もっぱら観賞用の木であり、独特の枝振りから「実もの盆栽の王様」と称されるが、稀に家具材、床柱、バイオリンの弓に使われる。

 

・カリンの木が寺院に多いのは、かつてインド中部に住んでいた元バラモン教徒の「庵羅女」が仏教へ転向した際、釈迦に「庵羅樹」の樹林を寄進したことにちなむ。庵羅樹はトウダイグサ科のアムラの木だが、日本ではこれをカリンと錯誤し、カリンを敬ってきた。

 

・カリンという名は、本種の木目が東南アジアを原産とするマメ科の花櫚(=インドシタン)に似ることによる。漢字表記は「花梨」が一般的になりつつあり本項もそれに倣うが、本来の漢語は「榠樝(めいき)」。別名のカラナシ(唐梨)やテンジクナシ(天竺梨)は大陸由来のナシに似た実をつける木、キボケ(木木瓜)は、低木にとどまるクサボケに対するものとされる。

 

【カリンの育て方のポイント】

・比較的涼しい気候を好み、東北や信州地方での栽培が多い。

 

・日向かつ水はけの良い場所を好む。植穴は深く掘り、腐葉土や堆肥を漉き込むのがよい。

 

・花木としては花が少ないが、実はなりやすい。自家受粉で結実するが、他家受粉の方が実が落ちにくい。実の成りを重視する場合は、複数のカリンを並べて植栽するとなおよい。繁殖は実生と挿し木による。

 

・枝は細めで上向きに伸び、樹形は狭い円錐状となる。時折街路樹として使われるのは、これによるが、丈夫な性質を持っており、剪定にも耐える。

 

・花芽は枝先にできるため、下手に切り戻すと花や実ができない。剪定の適期は冬季で、大枝を元から切除するような剪定が望ましい。若い枝には棘があるため注意したい。

 

・放任すると枝葉が繁茂し、通気性や採光性が下がればハマキムシ、アブラムシ、カイガラムシ、ナシヒメシンクイムシ、コウモリガ 赤星病など病害虫の被害に遭いやすくなる。

 

【カリンとマルメロの見分け方】

・カリンとマルメロは似たような果実ができるため、しばし混同されるが、カリンの樹皮は上の写真のように剥がれ落ちる特徴を持つ。また、マルメロの実はほぼ球形で表面にやや粘着性の毛がある。 

カリンの基本データ

 

【分類】バラ科 ボケ属

    落葉広葉 高木

【漢字】花梨(かりん)

【別名】カラナシ/本カリン/モククワ

    キボケ/テンジクナシ

    アンランジュ/マルメロ

【学名】Pseudocydonia sinensis 

【英名】Chinese quince tree

【成長】早い

【移植】普通

【高さ】5m~10m

【用途】果樹/公園/盆栽

【値段】800円~