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クロキ/くろき/黒木
Kuroki tree
【クロキとは】
・関東地方南部から九州の吐噶喇列島にかけて分布するハイノキ科の常緑樹。西日本の海岸沿いに多いが、寺院や墓地、鎮守の森に植栽されることもある。日本以外では中国、東南アジア、インド、ブータンなどに自生する。なお、沖縄でいうクロキは黒檀(琉球黒檀)のことであり本種とは異なる。
・春に開花するのが基本だが、株によっては秋に色違いの花を咲かせるという風変わりな性質を持つ。春の花はハイノキと同じような白あるいは薄緑色で、秋の花は紫色になるものが多い。春の花が正常花で、秋に咲く花は奇形花とされる。年に2回咲くことと、春の花の蕾は前年の秋にできていることから、一年中ツボミをつけているかのように見える。
・果実は画像のような楕円形で晩夏の頃から目立ち始める。長さ1~1.5センチほどで、始め緑色だが11月頃になると青黒く熟す。
・クロキの葉は楕円形で革質。長さは5~7センチほどで表面には光沢がある。若い枝は緑色で、葉の雰囲気は同じような場所に生えるモチノキにかなり似るが、よく見えると葉の上半分の縁にギザギザがあり、モチノキと見分けられる。
・「幹が黒いために黒木という」とする説もあるが、少なくとも東日本では灰褐色あるいは白に近い樹皮が多い。クロキという名前は、枝葉を燃やした後に生じる灰汁を染料(黒)に使ったことに由来すると考える方が馴染みやすい。(本来は黒い幹だが、地衣類が付着して白っぽく見えているという説もある)。クロキの材は薪として利用された。
・クロキが属するハイノキ科は多様性が高く、世界に250種類、日本にも20種類以上が分布するが、ハイノキの人気が突出している。
【クロキの育て方のポイント】
・暖かくて湿気のある場所を好み、乾燥地では育ちにくい。
・成長がやや遅く、芽を出す力も旺盛ではない。いい加減にバッサリと剪定すると木が痛み、樹形の乱れた状態が長く続くことになる。
【クロキに似ている木】
・葉はモチノキ、シキミ、クロガネモチ、ネズミモチなどに似るが、クロキは葉の上半分の縁にギザギザがある点で異なる。特に幼木ではギザギザが多く、やや丸みがある。
クロキの基本データ
【分類】ハイノキ科/ハイノキ属
常緑広葉/小高木
【漢字】黒木(くろき)
【別名】─
【学名】Symplocos lucida
【英名】Kuroki tree
【成長】やや遅い
【移植】簡単
【高さ】3m~12m
【用途】公園
【値段】─