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クロガネモチ/くろがねもち/黒鉄黐
Kurogane-mochi tree (Round leaf holly)
【クロガネモチとは】
・「苦労がなく金持ち」に通じるネーミングから縁起木として知られる。モチノキの仲間で、若い枝や葉柄が黒紫色であることや、葉が乾くと鉄色になることからクロガネモチと名付けられた(それぞれの金属の色から、金は黄金、銀は白金、銅は赤金、そして鉄のことを黒金という)。
・冬期に赤い実を付ける庭木としては最大級のもので、花の少ない冬を彩る存在になる。また、この実はヒヨドリ、ツグミ、ムクドリ、ヒレンジャクなどの野鳥が好んで食べ、運が良ければ鳥の糞から庭に勝手に生えることもある。
・あまり目立たないが初夏(6月)になると、その年に伸びた葉の付け根に花を咲かせる。
・本州から沖縄まで幅広く分布し、庭木や公園に使われる。九州では自治体の木として指定されていることが多く、街路樹としてさかんに利用される。
・モチノキやヤマグルマと同様に、樹皮からは鳥もちや染料を採取できる。また、材は農具の柄に使われる。
【クロガネモチの育て方のポイント】
・病害虫、大気汚染に強く、耐煙性、防火性に優れる。
・日向を好むが、半日陰でも育てることができる。
・大きな木でも移植が可能。
・雌雄異株で、実がなるのはメスの木のみ。オスを植えなくても実はなる。
・芽を出す力が強く、葉がよく茂る。このため、足元が暗くなりやすい。
・常緑樹だが、冬期に寒さと乾燥ですべての葉を落とし「丸坊主」になることがある(暖かくなると復活する。)。寒さに弱いため関東地方が北限か。
・風通しの悪い場所では、アブラムシやカイガラムシ、すす病の被害に遭うことがある。
【クロガネモチの品種】
・斑入りクロガネモチ
葉に黄色の模様が入る品種で、稀に流通する。
【クロガネモチに似ている木】
・モチノキとクロガネモチの違い
クロガネモチは葉柄が黒紫色で、モチノキは黄緑色。また、モチノキは最大樹高が10m程度であるのに対して、クロガネモチは20mと、より高くなる。秋にできる実はクロガネモチの方が鮮やかであり、モチノキは、くすんだ朱色で実の数もより少ない。
かつてモチノキは日本庭園に不可欠であったが、近年はクロガネモチの需要がより多い。
クロガネモチの基本データ
【分類】モチノキ科/モチノキ属
常緑広葉/高木
【漢字】黒鉄黐(くろがねもち)
【別名】フクラシバ/フクラモチ
イモグス
【学名】Ilex rotunda
【英名】Kurogane-mochi tree
(Round leaf holly)
【成長】やや遅い
【移植】簡単
【高さ】10m~20m
【用途】シンボルツリー/公園
垣根/盆栽
【値段】3000円~