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クチナシ/くちなし/梔子

Gardenia/Cape-jasmine

梔子の花,画像,くちなし
香りが高く、クチナシを模した香水も多い。
梔子の木,成長,くちなし
クチナシの冬芽
Gardenia/Cape-jasmine
芽出しの様子
Gardenia/Cape-jasmine
若葉の様子
くちなしの蕾,画像,クチナシ
蕾はねじれるように折り畳まれている(八重咲き種)
くちなしの花,画像,クチナシ
基本種はこんな感じだが・・・
クチナシ,八重,花,くちなし
より派手な八重咲きの方が好まれる
梔子,くちなし,樹形,クチナシ
樹高は3m以下におさまる
山梔子
花は「一日花」であり、開花した翌朝にはこんな感じに
梔子,葉っぱ,画像,くちなし
クチナシの成葉
梔子,くちなし,葉っぱ,写真
葉の裏側の様子
梔子の実 写真
花の後にできはじめた果実
クチナシの果実,画像
果実は熟すにつれて黄色からオレンジへ
fruits of gardenia,Japan
実が熟しても割れないので「口なし」
山梔子,くちなし,幹
枝の様子
くちなしの木
樹皮は灰色で平滑 あまり特徴はない

【クチナシとは】

・静岡県及び福井県より西の本州、四国、九州及び沖縄に自生するアカネ科クチナシ属の低木。花はジャスミンに似た南国風の甘い香りを放ち、キンモクセイジンチョウゲと共に三大芳香木とされ、自生地以外でも庭木や切り花に使われる。主に照葉樹林内に見られ、日本以外では中国やインドシナに分布する。

 

・クチナシの開花は梅雨時の6~7月で「クチナシの花」は夏の季語。枝先に一輪ずつ咲くが、咲き始めの夕方は純白で、翌朝にはクリーム色となり、落下前には黄褐色に変化してやや見苦しくなる。

 

・花の直径は5~6センチで花弁が5~7枚あるように見えるが、実際は根元でつながっている。中央にある雌しべの先端が、花弁より外へ突き出すのが特徴。なお、花は湿気の多い夜によく香る。

 

・クチナシの原種は一重咲きだが、庭木としてはより派手な八重咲きが好まれるため、かえって一重のものを見る機会は少ない。酢漬けや塩漬けにした花は、刺身のツマや和え物にして食用できる。

 

・葉には光沢があり、はっきりとした線(葉脈)が入っているため比較的、見分けやすい。長さ6~15センチ程度の楕円形で先端が尖り、枝から対になって生じるが、枝先では一箇所から3枚生じることもある。

 

・果実は長さ2~3センチで、10月~12月頃になるとオレンジ色に熟す。先端には6本の萼(がく)がトマトのヘタのように残る。この萼をクチバシに見立てて、「クチバシを持ったナシ(実)」の意でクチナシとなったという説もある。果実を口にすると苦味があるが、ヒヨドリ、シジュウカラ、メジロ、ムクドリなどの野鳥はこれを啄む。

 

・しかし一般的には、果実が熟しても割れない=「口無し」をクチナシの語源とする。将棋盤や碁盤の脚にクチナシの果実がデザインされるのは、見学者が勝負に口出しをしないようにとの意味が込められている。「梔」という漢字は古代中国で使われた酒器に、果実の形が似ていることにちなむ。

 

・クチナシの果実は朱色だが、カロチノイドという黄色の色素が含まれ、飛鳥時代の古くから、布を染めるのに用いられた。栗きんとんや沢庵、凍豆腐、和菓子、餅等の食品の着色に使われるのは、有毒物質を含まないため。この色は「口なし」に代えて「言わぬ色」と呼ばれる。

 

・クチナシの果実を漢方では「山梔子(さんしし)」といい、他の生薬と配合して止血、黄疸、打撲、利尿に用いるが、単独でも卵白と合わせて湿布の代用になる。また、クチナシは根にも薬効が認められている。

 

【クチナシの育て方のポイント】

・基本的には土質を選ばず、丈夫に育つ。自生地より北でも適応し、青森県でも栽培できる。乾燥にはやや弱い。

 

・日陰に強いが、花を楽しむ場合は半日陰程度の場所が望ましい。

 

・剪定によって形を整えることができるものの、コクチナシ以外は刈り込むと葉が見苦しくなるため、枝抜き剪定が望ましい。

 

・クチナシは株立ち状に育ち、幹らしい幹はない。枝葉がよく茂るため、低めの生垣として利用される場合もあるが、そうしたケースでは形を重視し、花数を期待せずに刈り込むことが多い。

 

・オオスカシバ(蛾)はクチナシを食草とし、幼虫によって葉を食害されやすい。オオスカシバの成虫が人に危害を加えることはないが、幼虫を放置すると株が丸坊主になり得るため、日頃からよく観察して見つけ次第、取り除いた方がよい。幼虫は夜間に活動が活発となり、昼間は葉の裏側や若い茎でじっとしている。

 

・語呂合わせで「嫁に貰う口なし」=良縁に恵まれないとし、かつては庭に植えるのを忌み嫌う地域もあった。

 

【クチナシの品種】

・マルバクチナシ

 丸みのある小さめの葉を持つ。

 

・ホソバクチナシ

 葉の幅が特に細い品種。

 

・ヤエクチナシ(オオヤエクチナシ、ハナクチナシ)

 クチナシの園芸品種で、八重かつ大きめの花が咲く。一重のものより芳香が強いものの、実はほとんどならない。仮に実ができて種子を播いても一重のクチナシになることがある。

 

コクチナシ(=ヒメクチナシ)

 中国を原産とする品種で、葉も花もより小さい。高さが30~70センチ程度にしかならず枝は横に這う。「ガーデニア」と称して流通し、グランドカバーや鉢植えに使われる。葉はクチナシの3分の1程度の大きさで、花は一重(ヒトエノコクチナシ)と八重がある。

 

・斑入りクチナシ

 葉に模様が入る品種。模様の入り方によって「覆輪クチナシ」など様々な園芸品種名がある。 

くちなしの花,種類
コクチナシ(ヒメクチナシ)の果実
小梔子
コクチナシは盆栽に使われる
斑入り,くちなし,品種,庭木図鑑
葉に模様が入る斑入りクチナシ
クチナシの種類
花は目立たなくなるが、花のない時季でも楽しめる

クチナシの基本データ

 

【分類】アカネ科/クチナシ属

    常緑広葉/低木

【漢字】梔子/山梔子/口無

【別名】ガーデニア/センブク

    サンシシ/サンシチ

【学名】Gardenia jasminoides 

【英名】Gardenia/Cape-jasmine

【成長】早い 

【移植】簡単 

【高さ】1~3m 

【用途】花木/垣根/公園

【値段】500円~

 

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