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クチナシ/くちなし/梔子
Gardenia
【クチナシとは】
・静岡県及び福井県より西の本州、四国、九州と沖縄に自生するアカネ科クチナシ属の低木。花はジャスミンに似た甘い香りを放ち、キンモクセイやジンチョウゲと共に三大芳香木とされ、自生地以外でも庭木や切り花に使われる。日本のほか中国やインドシナに自生する。
・開花は梅雨時の6~7月。咲き始めの夕方は純白で、翌朝にはクリーム色、落下前は褐色に変化し、やや見苦しくなる。花弁が6枚あるように見えるが、実際は根元でつながっている。雌しべの先端が花弁より外へ突き出すのが特徴。なお、花は湿気の多い夜によく香る。
・クチナシの原種は一重咲きだが、庭木としてはより派手な八重咲きが好まれるため、かえって一重のものを見る機会は少ない。花は刺身のツマや和え物にして食されることがある。
・葉には光沢があり、写真のようにはっきりとした線(葉脈)が入っているため比較的、見分けやすい。長さは6~15センチ程度。
・10月~2月頃にかけてできる実はオレンジ色で、先端には6本の萼(がく)がトマトのヘタのように残る。この萼をクチバシに見立てて、「クチバシを持ったナシ(実)」の意でクチナシとなったという説もある。しかし一般的には、実が熟しても割れない=「口無し」に因むとされる。将棋盤や碁盤の脚にクチナシの実がデザインされるのは、見学者が勝負に口出しをしないようにとの意味が込められている。
・クチナシの果実にはカロチノイドという色素が含まれ、飛鳥時代の古くから布を黄色く染めるのに用いられた。有毒物質を含まないため、栗きんとんや沢庵、凍豆腐、和菓子、餅等の食品の着色にも使われるこの色は、「口なし」に代えて「言わぬ色」と呼ばれる。また、クチナシの果実は生薬「山梔子(さんしし)」として止血、打撲、利尿に用いられ、根にも薬効が認められている。
【クチナシの育て方のポイント】
・基本的には土質を選ばず、丈夫に育つ。自生地より北でも適応し、青森県でも栽培できる。乾燥にはやや弱い。
・日陰に強いが、花を楽しむ場合は半日陰程度の場所が望ましい。
・剪定によって形を整えることができるものの、コクチナシ以外は刈り込むと葉が見苦しくなるため、枝抜き剪定が望ましい。
・クチナシは株立ち状に育ち、幹らしい幹はない。枝葉がよく茂るため、低めの生垣として利用される場合もあるが、そうしたケースでは形を重視し、花数を期待せずに刈り込むことが多い。
・オオスカシバの幼虫によって葉を食害されやすく、放置すると丸坊主になる。日頃からよく観察し、害虫は見つけ次第、取り除く。
・語呂合わせで「嫁に貰う口なし」=良縁に恵まれないとし、かつては庭に植えるのを忌み嫌う地域もあった。
【クチナシの品種】
・マルバクチナシ
丸みのある小さめの葉を持つ。
・ヤエクチナシ(オオヤエクチナシ、ハナクチナシ)
クチナシの園芸品種で、八重かつ大きめの花が咲く。一重のものより芳香が強いものの、実はほとんどならない。仮に実ができて種子を播いても一重のクチナシになることがある。
中国を原産とする品種で、葉も花もより小さい。高さが30~70センチ程度にしかならず枝は横に這う。「ガーデニア」と称して流通し、グランドカバーや鉢植えに使われる。葉はクチナシの3分の1程度の大きさで、花は一重(ヒトエノコクチナシ)と八重がある。
・斑入りクチナシ
葉に模様が入る品種。模様の入り方によって様々な園芸品種名がある。
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甘〜い香り漂う花が咲きます♪クチナシ(八重咲き)樹高30cm前後 花は切花にも♪【あす楽対応_... |
クチナシの基本データ
【分類】 アカネ科 クチナシ属
常緑広葉/低木
【学名】 Gardenia jasminoides
【別名】 ガーデニア/センブク
サンシシ/サンシチ
【成長】 早い
【移植】 簡単
【高さ】 1m~3m
【用途】 花木/垣根/公園
【値段】 500円~