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クスノキ/くすのき/楠・樟

Camphor tree

となりのトトロの木,くすのき,何
クスノキは「トトロ」が住むほど巨木になる
樟,くすのき,冬芽
冬芽はタブノキのように存在感がある
クスノキ,くすのき,特徴
個体によって芽出しの数日間は赤くなる
Camphor tree
葉の寿命は一年限りで、春になると古い葉は赤くなる
樟,くすのき,樹木図鑑
新芽が赤い「アカグス」は古葉も赤いため、春先に木全体が赤っぽく見える
クスノキの落葉
関東ではゴールデンウィークの頃、樹下に落ち葉があふれる
クスノキの特徴,くすのき
クスノキの葉は三本の葉脈が目立ち、特徴的な香りがする
クスノキ,くすのき, となりのトトロ 特徴
葉の基部にはダニが住む「ダニ袋」がある
クスノキの花,くすのき
蕾の様子
クスノキの開花時期,くすのき
晩春~初夏に花を咲かせる 微香があるが誰も見向きもしない
楠の実,くすのき,となりのトトロの木
花の後には光沢のある実ができる
楠の実
実は10~11月に熟す
くすのき
クスノキの幼木(実生)
トトロの木,何
九州では街路樹に使われる(宮崎県庁前)
トトロの木,幹,くすのき
クスノキの樹皮は黄色を帯びた暗い褐色で、縦に筋が入る
くすのき,植物
老木になるとコルク質になって盛り上がる

【クスノキとは】

・茨城県以南の暖地に自生するクスノキ科クスノキ属の常緑樹。光沢のあるライトグリーンの新緑が美しく、枝葉をちぎるとハッカのような芳香を放つのが特徴。韓国の済州島、南シナ海沿岸の中国、台湾及びベトナム等にも分布する。

 

・クスノキの材や枝葉からは、今日でいうプラスティックの前身となるセルロイドや、カンフル剤の原料となる樟脳、香料が採取できる。産業上の都合で明治時代から各地でさかんに植栽されたため、本来の自生地は明らかではなく、もともと日本には自生しないという説もある。

 

・防虫効果のある樟脳(タンスに入れる防虫剤)は木全体に含まれるため、樹木としてのクスノキに害虫の被害は少ない。葉の密度は高く、大木となるため、木陰を作る緑陰樹として公共の場所や店舗、会社のシンボルツリーなどとしてエントランス等に植栽される。

 

・千年以上にもなるという樹齢の長さから、時にクスノキは神聖な木や縁起のいい木とされる。神社仏閣の御神木や天然記念物に指定され、樹齢数百年を超えるクスノキも多い。

 

・通常の樹高は20m、直径3~5mほどだが、樹高50m、直径8mを超える巨木となるものもある。日本の巨木ランキングの上位ほとんどをクスノキが占め、鹿児島県姶良郡蒲生町にある八幡神社のクスノキは環境省の調査によって日本一の巨木であることが証明されている。 

 

・葉は革質で枝から互い違いに生じ、長さは5~12センチ、幅3~6センチほどで表面には光沢があり、裏面は白い。葉の縁は波が打ったようになりにギザギザはない。また、葉の付け根付近に3本の葉脈が目立つのが特徴で、この葉脈の分岐点にはダニ(フシダニ)の住む小袋(ダニ部屋)がある。

 

・クスノキには新葉及び葉の付け根(葉柄)が赤いものと緑色のものがあり、前者をアカグス(赤樟)、後者をアオグス(青樟)と呼ぶ。庭木としては芽吹きの美しいアカグスが好まれる。

 

ニッケイヤブニッケイと同じ5~6月頃になると葉の付け根から円錐状の「花序」を伸ばし、クリーム色の小花を咲かせる。花の直径は3~5ミリほどで、12個の雄しべと1個の雌しべを持つ。あまり目立たない花だが、佐賀県では県の花に指定している。

 

・花の後にできる緑色の実は最終的に8ミリほどの大きさになり、秋(10~11月頃)になると黒紫色に熟す。中には種が一粒入っており、これを蒔けば比較的簡単に発芽する。

 

・クスノキの材は建材や家具、彫刻、仏壇、仏像(主に飛鳥時代)、木魚、丸木舟、木箱など様々な用途に利用され、その耐久性の高さは、海中に立つ安芸の宮島(厳島神社)の大鳥居で立証される。製材後、時間が経っても樟脳特有の香りが残り、クスノキで作ったウッドチップに消臭効果や防虫効果があるとしてドッグランの地面に用いられることもある。 

 

・クスノキという名前の由来には諸説ある。クスシキキ(奇木)、クスノキ(薫木)、クサイキ(臭い木)、クスリノキ(薬の木)が転化したとするのが主だが、いずれもこの木が持つ葉の香り及び性質に着目したものと考えられる。漢字表記には「樟」と「楠」があるが、後者は中国産の別の木を表し、「樟」が正しい。

 

・樹皮は明るい褐色で、縦に細かく裂け目ができ、大木となるとノキシノブというシダ植物が着生していることが多い。

 

【育て方のポイント】

・日向の肥沃地を好むが、環境への適応力はあり、土質を選ばず、半日陰程度でも育つ。街路樹に使われることから分かるように、大気汚染にも強い。

 

・病害虫にかなり強い。ただし、一部の蝶(アオスジアゲハ)の幼虫は、この葉を好んで食べる。人為的に植栽されるクスノキの増加に伴ってアオスジアゲハも生育範囲を広げているという。

 

・枝に柔軟性があり、大木であっても風に強い。ただし、その分、木に登った場合、用心しないと枝が折れて危険な目に遭いかねない。また、雪の時季には雪の重みで、台風の時季には強風によって枝や幹が折れ、みすぼらしくなることもある。

 

・耐寒性がやや低い。植栽の安全圏は茨城県以西。安全圏であっても冬の寒さが厳しい年には上部が枯れることがある。また、苗木の場合も防寒対策が必要。乾燥した風にも弱い。

 

・剪定に強く、刈り込んで小さく仕立てることもできるが、秋以降(特に冬期)に強剪定すると枯れ込むことがある。

 

・一般家庭でも育てられるが、根の張りが豪快であり、苗木を植えても将来的にはブロックやアスファルトを打ち破る可能性が高い。また、既述のとおり木全体に油分を含み、可燃性が高いとされるため、一般家庭の庭木には向かない。公園や神社などスペースのある場所で雄姿を観賞するのがよい。

 

【似ている木との見分け方】

・クスに似たタブノキは「イヌグス」とも称される。葉がクスより肉厚で、緑色も濃い(クスノキはどちらかといえばライトグリーン)。「イヌグス」とはいえ、タブノキの方が材の硬度は優る。

クスノキの基本データ

 

【分類】クスノキ科 クスノキ属

    常緑広葉 高木

【学名】Cinnamomum Camphora

【別名】クス/ホングス/ナンジャモンジャ

【成長】早い

【移植】簡単

【高さ】15m~30m

【用途】公園/街路樹/記念樹/防風林 

【値段】300円~