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カミヤツデ/かみやつで/紙八手
Rice-paper tree
【カミヤツデとは】
・中国本土南部、台湾及び沖縄を原産とするウコギ科カミヤツデ属の常緑低木。日本庭園で普通に見られるヤツデの仲間だが、葉はより大きくて南国の雰囲気がある。温暖な地方では庭木として使われ、それが野生化している例もある。
・幹の中心にある白色の「随」から、短冊、書画、造花などに使う通草紙を作ったため、カミヤツデと呼ばれる。いわゆる「一属一種」の木でありカミヤツデ属の木はこれをおいて他にない。
・葉はかなり大きく、直径45~70センチにもなり、ヤツデと同じように浅く七つに切れ込みが入るが、裂片にはさらに切れ込みが入り、モミジガサを巨大化したようになる。
・葉の質はやや厚めだがとても柔らかで破れやすい。ヤツデと異なり、葉の裏面に綿毛を密生し、新葉や若い枝にも褐色の毛が目立つ。思わず手で触れてみたくなるが、これらの綿毛を吸い込むと害があるとされる。
・葉は幹から互い違いに生じ、葉柄(葉が付いている茎)は20~50センチもの長さになるため、アキタブキのように傘にして遊びたくなる。原産地では常緑性だが、寒地では冬季に落葉し、春に新たな芽を出す。
・開花は9~12月でクリーム色をした小さな花が多数集まって、50~60センチ大の花穂を作る。花はヤツデに似るが花弁と雄しべは4つずつあり、花の軸は緑色でこれにも淡い黄褐色の綿毛が密生する。
・花の後にできる果実は小さな球形で、12月頃になると黒く熟し、中には堅くて黒い種子がある。
・幹は一本立ちになるのが普通で、分岐することはほとんどない。樹皮は緑~淡い褐色で、幹の直径は最大で12センチほどになる。
【カミヤツデの育て方のポイント】
・日本の植物にはない大きな葉を持ち、植栽には広いスペースが必要。鉢に植えれば多少、葉を小さくすることができる。
・本種のみで亜熱帯の雰囲気を作ることができるが、他の樹木等とは景色が馴染みにくい。
・土質を選ばずに育つが、芽を出す力は弱く、剪定を繰り返すと樹勢が衰える。
・京都や東京など多くの地域では冬季に地上部を枯らすが、春になると生き残った地下茎から新芽が生じる。地下茎を掘り出し、株分けによって増やすこともできる。
カミヤツデの基本データ
【分類】ウコギ科/カミヤツデ属
常緑広葉/低木
【漢字】紙八手(かみやつで)
【別名】通脱木(つうだつぼく)
通草(つうそう)
【学名】Tetrapanax papyriferus
【英名】Rice-paper tree
【成長】早い
【移植】やや困難
【高さ】3~8m
【用途】庭木
【値段】─