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シリブカガシ/しりぶかがし/尻深樫

Shiribuka-gashi(Japanese oak) 

しりぶかがし,シリブカガシの実,画像
食べられるドングリがなる木の一つ

 

【シリブカガシとは】

・近畿地方以南の山地に分布するブナ科の常緑樹。同属のマテバシイに似るが、より温暖な地を好み、沖縄、中国、台湾にも見られる。

 

・いわゆるドングリの帽子が他のドングリより深く、底部に深さ3ミリほどの凹みがあるため「尻深」と呼ばれるようになった。関東で本種を見掛けるのは稀だが、西日本では公園や街路にも植栽される。

尻深樫,しりぶがかし
シリブカガシの若葉
しりぶかがし,シリブカガシの葉っぱ
葉はマテバシイ同様に光沢があって大きい
シリブカの木,特徴
光の具合にもよるが、葉の裏面は青白い

 

・シリブカガシの葉は枝から互い違いに生じ、長さは4~10センチほどになる。画像のように革質で厚みがあり、縁にギザギザはない。裏面は銀白色でマテバシイよりも青白く見え、若い枝にはわずかながら毛が生じる。

シリブカガシの花,しりぶかがし
開花は秋で、ドングリがなる木では異色
秋に咲く栗に似た花
栗の花のような精臭があるが匂いはやや弱い
シリブカガシの木の花,しりぶかがし
紐状に垂れ下がるのは小さな雄花の集まり

 

・ドングリがなる木の一つだが、秋(9~10月頃)に開花するという特異な性質を持つ。雌雄同株で花は他のカシ類と同じような紐状になり、葉から突き出すように開く。

 

・シリブカガシの花には強い香りの蜜があって虫がよく集まるが、人間にとっては観賞価値に乏しい。一般的な感覚では季節外れに栗の花が咲いているように見える。

しりぶかがし 雌花
先端の方に咲き、より地味なのが雌花
しりぶかがし,実
雌花は一年かけてドングリに変身する
しりぶかがし,木の実
ドングリは直径2センチほど

 

・シリブカガシの堅果(ドングリ)は直径2センチほどの楕円形。表面が蝋状の物質で覆われており、光の具合によっては紫色に見える。

 

・ドングリは翌年の開花期以降に熟すため、緑色のドングリと花を一緒に見ることができる。ドングリはタンニン(アク)が少ないため生でも食用でき、リスや野鳥などの動物も好んでこれを食べる。

shiribukagasi,fruits
ドングリの底が大きく凹む
しりぶかがしの実生
ドングリから幼木が生じ・・・
ブナ科マテバシイ属
樹高10mを超えて育つ

 

・シリブカガシの樹皮は暗灰色でマテバシイに似るが、マテバシイにあるような縦皺はあまり目立たず、ほぼ平滑。材はお洒落に「カーム」と呼ばれ、建材や木製スプーン、フォークなどの器具や家具に使われる。

しりぶかがし,尻深樫,幹
樹齢の高い木でも幹は滑らか

 

【シリブカガシの育て方のポイント】

・自生地は暖地の山地や海辺であり、寒さには弱い。植栽の適地は関東地方まで。本来は湿気を好むが、乾燥地でも耐える。

 

・病害虫、煙害、潮風に強い。

 

・成長に伴って日向を好むようになるが、多少の日陰でも育つ。

 

刈り込みに強く、比較的自由に高さを調整できる。 

 

・放任すると上部ばかりが成長し、下枝がなくなるため、美観を維持するにはマメに手入れする必要がある。

 

【シリブカガシに似ている木】

マテバシイ

アカガシ

ウラジロガシ

シリブカガシの基本データ

 

【分類】ブナ科/マテバシイ属

    常緑広葉/高木 

【漢字】尻深樫(しりぶかがし)      

【別名】シリブカ/カーム

【学名】Lithocarpus glaber

    (Thunb.) Nakai

【英名】Shiribuka-gashi

    (Japanese oak) 

【成長】早い

【移植】簡単 

【高さ】10m~15m

【用途】街路樹/公園樹

【値段】500円~

 

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