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ヨモギ/よもぎ/蓬
Yomogi(Wormwood)
【ヨモギとは】
・本州、四国及び九州に分布するキク科の多年草。山野のみならず、道端や空き地、都会の街中など、日向であれば至るところに生じる日本で最も一般的な草の一つ。
・若葉にはキク科特有の香りがあり、草団子、草餅 天婦羅、ヨモギ茶、ヨモギ酒、ヨモギうどんなどとして広く食用される。また、古くから中国ではヨモギが邪気を払うとの伝承があり、その影響から雛祭り、端午の節句(菖蒲湯)に使われる。
・ヨモギという呼び名の由来には、「よく燃える草」あるいは「よく萌える草」が転訛したとする諸説があり、前者は葉の裏面にある綿毛をモグサとしてお灸に使うこに由来する。
・日本人にとって身近な草であり、モチグサ、ヨゴミ、ダンゴグサ、ヤイトグサ、フツ、キュウグサなど多くの別名や地方名がある。漢字表記は「艾」が正しいいが日本では「蓬」を当てることが多い。
・ヨモギの葉は長さ6~12センチ、幅4~8センチの羽根状で表面は濃い緑色だが、裏面は毛が密生して白く見える。茎から互い違いに生じ、下の方にある葉には柄があって縁の切れ込みが深く、上部の葉は柄がなく、切れ込みが浅い。
・食用にするのは若菜あるいは6月下旬~7月中旬に摘んだもの。これを日干しして煎じたものは、生薬「艾葉(がいよう)」として、止血、滋養強壮、整腸、痔疾及び腰痛の緩和などに用いる。
・茎は直立し、草丈は1mほどになる。表面には縮れた毛があり、枝分かれした上部は白い綿毛が生える。地上部は晩秋に枯れ落ちるが、やや木質化した丈夫な茎を持つため、暖地ではそのまま越冬することもある。
・開花は夏から秋で、茎の先端や葉の付け根から伸びた花茎に、黄褐色をした花が穂状に密生する。花は小さな筒状で、あまり目立たないが、近年は同時期に咲くブタクサと共に、秋の花粉症の元凶とされる。
・地下茎は横に伸び、根を出しながら繁茂する。ヨモギ餅を雛祭りの御供えにするのは繁殖力の高さ(=子孫繁栄)にあやかったものだが、セイタカアワダチソウと同じように地下茎から他の植物の生育を抑制する物質を分泌することで繁茂しているため、人間社会に擬えるのは辛辣である。
【花の色・品種】
・黄褐色
【背丈】
・50~120cm
【ヨモギの品種】
・オオヨモギ、ヤマヨモギ(ヒロハヤマヨモギ)、オトコヨモギ、ミヤマオトコヨモギ、ハマオトコヨモギ、カワラヨモギ、ヒメヨモギ、イヌヨモギ、シロヨモギ、ヒトツバヨモギ、クソニンジンなど日本には約30種のヨモギがあるという。