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ドクダミ/どくだみ/蕺菜
【ドクダミとは】
・北海道北部を除く日本全国に自生するドクダミ科ドクダミ属(一属一種)の多年草。低山の山裾や谷筋の木陰など、日陰であれば至るところに群生する。
・草全体に薬効があり、水虫、やけど、にきび、湿疹など日常的な傷病に用いる薬草として一般家庭に植えられ、その名残が町中に残る。日本以外でも中国南部、インドネシアなどの東アジアに広く分布。
・ドクダミという名の由来には諸説あるが、毒でも溜まっているかのような特異な香りがあることを意味する「毒溜め」を由来とする説や、薬草として毒にも痛みにも効く「毒痛み」に由来するという説が知られる。
・別名は「ジュウヤク(十薬)」や「イシャゴロシ(医者殺し)」、「スイダシグサ(吸出草)で、これらもドクダミが持つ薬効や抗菌作用に由来し、「十の薬効を持つ」、「十の毒を消す」あるいは「重要な薬草」などを語源とする。ドクダミはセンブリやゲンノショウコと並ぶ代表的な日本の薬草とされる。
・ドクダミは地下に円柱形の柔らな白い根茎を持ち、これが縦横無尽に広がって大きな群れを作る。加えて後述の種子による繁殖もあるため、わざわざ庭に植えるような代物ではないが、他の庭木の根土などに紛れて意図せず庭へ侵入することが多い。厄介者扱いされがちだが、地下茎を細かく切って水に一晩さらせば、油炒めや煮物に使用できる。
・赤紫色を帯びた茎は根から直立し、長さ20~50センチほどになる。葉は茎から互い違いに生じるが、環境によってまばらになる。やや多肉質で先端が尖り、ハート型。新葉の裏面や葉の縁は赤みを帯びる。葉の香りは好みが分かれるが、加熱あるいは乾燥すると消滅するため、ドクダミ茶や天婦羅(新葉のみ)として飲食できる。
・ドクダミの開花は5~7月で、同じころに咲くソバと似て非なることから「ジゴクソバ(地獄蕎麦)」という別名がある。花弁のように見える白いものは葉が変形した「苞(総苞片)」であり花弁ではない。本当の花は長さ1~3センチほどの穂状に屹立した薄黄色の部分で、花弁はない。
・花は1本の雌シベとそれを取り囲む3本の不完全な雄シベからなる。ドクダミは進化の遅れた植物であり、受粉せずに結実し、薄茶色の微細な種子を作る。ドクダミの花は稀に生け花に使われるが、独特の香りによって敬遠されるのが普通である。
【ドクダミの品種】
・ヤエドクダミ
白い苞が幾重にもなって花穂に連なる品種
ドクダミの基本データ
【分 類】ドクダミ科/ドクダミ属
多年草
【漢 字】蕺菜
【別 名】ジュウヤク(十薬)
イシャゴロシ(医者殺し)
スイダシグサ(吸出草)
ジゴクソバ(地獄蕎麦)
【学 名】Houttuynia cordata
【英 名】Lizard tail/Fish Mint
Heart-leaved houttuynia
Chameleon plant
【開花期】5~7月
【花の色】─ クリーム色(白いのは花ではなく「苞」)
【草 丈】~50cm