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ザゼンソウ/ざぜんそう/座禅草

Eastern Skunk Cabbage

ざぜんそう,座禅草,画像
花言葉は「沈黙の愛」など
ざぜんそう,開花時期
まだ丸まっている新葉の横に紫褐色の「仏炎苞」を突き出す
ざぜんそう,だるまそう
花はこの仏炎苞の内側に咲く
自生地
開花は地域によって1~5月
ザゼンソウの葉
花が終わると新葉が展開する
葉っぱ
葉は長さ30~40cm
ざぜんそう,葉
株元から2~7枚生る
Eastern Skunk Cabbage
葉の陰には干乾びた花
実,種子
花の後には稀に果実ができる

【ザゼンソウとは】

・北海道及び滋賀県以北の本州に分布するサトイモ科の多年草。春に咲く独特な花姿が、袈裟を着て座禅を組んだ僧侶に見えるとしてザゼンソウと名付けられた。別名はダルマソウ。これは同じように花を達磨大師に見立てたもの。

 

・ザゼンソウは日本海側に多く、山地の湿った林内や谷間の湿原で時に群生するが、地域によっては絶滅が危惧されている。日本以外ではシベリア、中国北東部、北アメリカなどに分布。

 

・ザゼンソウの開花期間は地域によって1~5月だが、2月中旬~3月下旬が多く、同じような場所に生えるミズバショウよりやや早い。


・花が咲くのは新葉の展開前で、最初に姿を現すのはやや不気味な色をした仏炎苞。始めは先端が土に埋もれているが、花が進むと起き上がり、仏像の光背のように花穂を覆う。

 

・花には悪臭がありスカンクキャベツという英語名があるが、これは臭いによってハエの仲間を集めて受粉を促すもの。


・仏炎苞の内側は開花時に発熱し、25℃程度まで達するとされるがこれは、発熱によって周囲の雪を解かすとともに、暖気によって匂いを拡散させてハエを集め、受粉の確率を高めることを目的としている。

 

・仏炎苞の中にある花穂は卵形で短い柄があり、ミズバショウのように黄色い小花が多数、表面を覆うように密生する。花は両性花で、咲き始めは雌花だが、時間の経過とともに両性花、そして雄花と変化していく。

 

・花には黄色い葯を付けた雄しべが4つと雌しべが一つあり、淡い紫色をした花被片(花弁と萼)も4枚あるが、亀の甲羅のように多数が並ぶため、一つ一つの花は区別しにくい。

 

・花が終わると水分を含んだ球形の果実ができ、果穂は地上に横たわる。6~7月に熟すと落下し、中から種子が一粒ずつ出てくる。しかしザゼンソウは虫の少ない時季に咲くため、受粉や結実は稀である。

 

・ザゼンソウの葉は全て株元から生じる根生葉。長い柄があり2~7枚生じる。長さ30~40センチほどの大きなハート形で基部は耳のようになり、裏面は葉脈が隆起。別名ベコノシタは葉の形状を牛の舌に擬えたもの。

 

・クマはザゼンソウの葉を好んで食べ、アイヌ文化でも近縁種ヒメザゼンソウの葉を下ごしらえして食用するが、ミズバショウの葉と同様にシュウ酸カルシウムを含んでおり食用にならない。近年、ギボウシ(ウルイ)の葉と間違えてヒメザゼンソウを食べ、入院に至った例がある。

 

【ザゼンソウの品種】

・ヒメザゼンソウ

 北海道及び中国地方以北の本州に分布する近縁種。仏炎苞は長さ5センチ、葉は10~15センチほどで全体にザゼンソウよりも小さい。開花は新葉の展開後でザゼンソウよりもやや遅く、果実は開花翌年の5~6月に熟す。

 

・アオザゼンソウ

 ザゼンソウのうち、仏炎苞が緑色になるもの。

 

・ウズラザゼンソウ 

 ザゼンソウのうち、仏炎苞に紫色の斑点模様が入るもの。

うずらざぜんそう
仏炎苞がこうなるのはウズラザゼンソウ

【ザゼンソウに似た草花】

ミズバショウ 

 

・チユウキンレン(地湧金蓮)

 ザゼンソウの漢名に「地湧金蓮」を使うことがあるが、中国のチユウキンレンはバショウ科の別物。画像のような花が8か月も咲き続ける。

ちゆうきんれん
チユウキンレンの花
地湧金蓮
チユウキンレンの葉はバショウに似る

ザゼンソウの基本データ

 

【分 類】サトイモ科/ザゼンソウ属

     多年草

【漢 字】座禅草(ざぜんそう)

【別 名】ダルマソウ(達磨草)

     ベコノシタ

     地湧金蓮(ちゆうきんれん)

【学 名】Symplocarpus renifolius

【英 名】Eastern Skunk Cabbage

【開花期】1~5月

【花の色】暗い紫褐色

【草 丈】~50cm

 

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