ソバ/そば/蕎麦

Buckwheat

蕎麦の花
開花期の様子
ソバの葉
葉の縁は波打つが、ギザギザはない
Buckwheat
茎の様子
Buckwheat
花茎は葉に抱かれるように伸びる
そば,植物
ソバの花
Buckwheat
ソバには花柱(雌しべ)の長い花と短い花がある  
蕎麦畑
ソバ畑の様子

【ソバとは】

・中国雲南省~ヒマラヤ地方を原産とするタデ科の一年草。「年越しそば」などでお馴染みのソバは、この種子を粉にして小麦粉で繋いだもの。日本の伝統食のようなイメージもあるが、インドや中国北部をはじめ、世界各地で食用に栽培される。

 

・ソバが日本に渡来した時期は不詳だが、高知県佐川町で見付かった縄文時代の遺跡の゙地層からソバ属の花粉が発掘されており、縄文時代からソバに類する植物の栽培がなされていたと推測されている。

 

奈良時代には山畑で栽培されていたことが文献上明らかで、当初は飢饉の時に食べる救荒植物とされていた。ソバ粉を使った料理が増えたのは鎌倉時代以降で、江戸時代の始めには今風のソバになった。なお、ソバを年越しに食べるのは、打って伸ばす行為を命を延ばすとして縁起を担いだもの。

 

・現在我々が口にするソバの7割は海外産で主要な生産国はロシア、中国、ウクライナ。国内では北海道産が大半を占める。

 

・ソバの開花は初秋で、茎の先端や葉の脇から伸びる花柄に直径6ミリほどの小花を咲かせる。花は白あるいは淡い紅色だが花弁はなく、花弁のような萼がある。花には独特の香りがあり、畑一面に咲き揃う「蕎麦の花」は、初秋の季語として俳句にも詠まれる。

 

・自家不稔率は高いが1か月にもわたって次々に開花するためミツバチがよく集まり、結実しやすい。ソバの実は栄養価が高く、血管の老化を防ぐルチンや、小麦よりも豊富なタンパク質やビタミンを含む。最初に挽いた粉の「更科(さらしな)」は最も白く、味もよいとされる。枕などに使われるソバガラは果実の外皮で、黒褐色あるいは銀灰色になる。 

 

・葉は長さ3~8センチの三角形あるいはハート形。下の方の葉は茎から対になって生じるが、多くは互い違いに生じる。日本ではあまり馴染みがないが、茎葉を家畜の肥料とする国もある。茎は1~4本に枝分かれし、根は地下1mくらいまで育つ。

 

・ソバは冷涼かつ湿潤な場所を好むが、土質はあまり選ばない。痩せ地でしか育たないと誤解されがちだが、地味の乏しいところにも耐えるだけで、肥えた土地であればなお育つ。救荒植物として都合が良かったのは、性質が丈夫であることに加え、種蒔き後2~3か月で結実し、年に2~3回収穫できるため。

 

・日本に普及しているソバは普通種だが、他にダッタン種(ニガソバ、インドソバ)がある。また、日本で栽培される普通種には5月頃に蒔いて夏に収穫する夏型、立秋の頃に蒔いて10月頃に収穫する秋型、そしてその中間型がある。北方には夏型が、南方には秋型が適するが、味は秋ソバが勝る。 

 

・ソバの語源については、①種子の外殻に角(=稜)があるムギを意味する「稜麦(ソバムギ)」が省略されたものとする説、②「ソバ=傍」で、傍は傍流などのように亜流を示し、第二のムギを意味するという説などがある。また、英名のBuckwheatは、ブナのような実がなる小麦という意味。

 

【ソバの品種】

・シュッコンソバ

 インド北部~中国南部の高地に自生する多年生(宿根)のソバ。茎の基部がより赤く、別名をシャクチリソバ(赤地利蕎麦)という。果実もソバに比べると赤みを帯び、ソバよりもやや大きい。シュッコンソバは日本にも薬用として伝わり、野生化したものが見られる。

宿根蕎麦,植物
シュッコンソバ

 

【ソバに似た草花】

 

ミゾソバ

ソバの基本データ

 

【分 類】タデ科/ソバ

     一年草

【漢 字】蕎麦(そば)

【別 名】ソバムギ/ソマムギ

     クロムギ

【学 名】Fagopyrum esculentum

     Moench.

【英 名】Buckwheat

【開花期】8~9月

【花の色】白、淡いピンク

【草 丈】~130cm

 

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