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ドウダンツツジ/どうだんつつじ/満天星
White enkianthus
【ドウダンツツジとは】
・房総半島南部及び天城山以西の本州、四国及び九州に分布するツツジ科ドウダンツツジ属の落葉低木。蛇紋岩地帯と呼ばれるマグネシウムを多量に含む土壌で稀に自生が見られる。
・樹齢150年を超える株がある兵庫県豊岡市の但馬安國禅寺や三重県の朝熊山周辺が観光の名所だが、園芸植物としては大量に出回っており、特に関東地方では庭園や垣根、ビル街の植込みにも利用される。
・開花は葉の展開とほぼ同じ4~5月で、スズランのようなベル型の花が下向きに咲く。花の直径は7~8ミリほどで、五枚の花弁が合体してできており、先端が浅く五つに分かれている。花の後には長さ6~9ミリほどの実ができ、10月ごろに熟すと中から多数の種子が飛び出すが、繁殖は挿し木が一般的。
・葉は菱形に近い長楕円形で長さ2~4センチ、幅1~1.5センチほどになり、葉の縁には細かなギザギザがある。枝先に車状につき、ライトグリーンの新緑は美しい。や紅葉も楽しめるとあって人気が高い。寒い地方では紅葉が美しい。
・花の作り、あるいは枝分かれの様子が「結び灯台」という燭台(昔のライト)に似ていることから「トウダイツツジ」と呼ばれるようになり、それが転訛して「ドウダンツツジ」となった。漢字表記の「満天星」は何とも奇妙だが、中国の故事に由来する。
・主幹は直立するが分岐も多く、樹形は自然に整う。樹皮は平滑だが光沢があって美しく、樹齢を重ねると画像のように一部が剥離する。
【育て方のポイント】
・成長が緩やかで、大きくなるまでに時間がかかるため、比較的狭いスペースでも育てられる。耐寒性、耐暑性があり、乾燥や病害虫にも強い。
・花を存分に楽しむためには日向に限るが、非常に丈夫な木であり、半日陰程度なら耐えられる。また、土質もあまりこだわらずに育つ。
・枝分かれが多く、好きな形に剪定しやすい。真夏を除けば、葉が全てなくなるような強い剪定にも耐える。剪定をサボると下の方の枝がなくなりやすく、垣根の場合は用心したい。
・落葉性であり、冬場は葉を落とすため、目隠しにはならない。また、人によっては冬場の棒状の枝を寂しく感じる。
【ドウダンツツジに似ている木】
・ヒロハドウダンツツジ
名前のとおり、葉幅が広い品種で、山地の岩場などで稀に自生する。
葉の大きさがまったく異なり、ドウダンツツジより大きいため紅葉が大変美しい。木の高さもより高くなる。濃いピンク色のスジが入る花は、香りが独特で、人によっては不快にさえ感じる。変種に深紅の花が咲くベニサラサドウダンがある。
朱色に近い紅色ないし赤色の花が咲く品種
・シロドウダン
シロドウダン=白い花が咲くドウダンツツジではなく、ベニドウダンの白花種。ドウダンツツジよりも枝分かれの多い低木で、刈り込んで庭木にするような種ではなく、自然な形を楽しむもの。庭木としての利用は少ない。
ドウダンツツジと同時期により小さな花を咲かせ、別名をヤマドウダンという。
ドウダンツツジの基本データ
【分類】ツツジ科ドウダンツツジ属
落葉広葉/低木
【学名】Enkianthus perulatus
C.K.Schneid
【別名】ドウダン/カメコツツジ/フデノキ
トウダイツツジ /ドウダンモミジ
【成長】やや遅い
【移植】簡単
【高さ】1m~6m
【用途】花木/公園/垣根
【値段】500円~