庭木図鑑 植木ペディア > ソメイヨシノ
ソメイヨシノ/そめいよしの/染井吉野
someiyosino

【ソメイヨシノとは】
・300種類以上ある日本のサクラの代表的な品種。3月から4月にかけ、葉に先立って咲く花は煌びやかであり、春の訪れを誰もに実感させる。都市部に植栽されるサクラのほとんどはソメイヨシノであり、特に関東地方ではその傾向が高い。
・江戸時代の終わりに染井村(現在のJR駒込駅から染井墓地の周辺)の植木屋が「吉野桜」として売り出したのが本種の起源だが、ヤマザクラの名所として名高い吉野山の桜も吉野桜と呼ばれており、混同を避けるため明治33年にソメイヨシノに改名された。
・日本全国のソメイヨシノはすべて同一のソメイヨシノから接木して作られたもの。このため同じ遺伝子を持ち、気温に対して同じ反応を示すことからサクラ前線を形成することができている。今現在目にする多くのソメイヨシノは戦後の復興期に大量に生産されたもの。
・エドヒガンとオオシマザクラあるいはエドヒガンとオオヤマザクラの交雑種とされるが、これらを掛け合わせて再現する試みは未だに成功しておらず、真相は判っていない。自然にできたという説、韓国の済州島に自生があるとする説もある。
・花の色は薄いピンクのイメージだが、実際にピンク色を帯びるのは咲き始めだけであり、時間の経過と共に白くなっていく。乾燥や潮風に弱く、暖地では花の形がきれいにならないため、ソメイヨシノは東日本に多い。
・葉は楕円形で縁にはギザギザがあり、枝から互い違いに生じる。葉柄や裏面の脈の上に毛があるのがヤマザクラとの違い。環境が良ければ紅葉も美しいが、都市部の環境では鑑賞に堪えるような紅葉にはならず、早ければ9~10月頃に落葉する年もあり、鑑賞期間は短い。
・果実は球形で黒紫色に熟す。実を播けば芽は出るものの、ソメイヨシノにはならない。
【育て方のポイント】
・日当たりが良く、肥沃な土地を好む。
・寒さには耐えるが札幌周辺が生育の北限になる。
・病気(テングス病)や害虫(モンクロシャチホコなど)が多く、個人の庭では敬遠されやすい。また、寿命も一般的な樹木に比べれば短かく(50~60年)、長くても100年程度とされる。
・「サクラ切るバカ、梅切らぬバカ」との有名な言葉があるとおり、非常にデリケートな性質を持つ。剪定すると切り口から腐敗菌が侵入して枯れこむことや、樹勢が弱って花付きが悪くなることがある。
・幹が直立することはなく、成長とともに傘を逆さにしたような樹形になるのが基本であり、その自然樹形を鑑賞する。このため狭い場所には向かない。
・剪定は落葉期に、最低限度の枝を付け根から切除し、切り口に接ぎロウ、石灰硫黄合剤などを塗布して腐食の予防をする。
|
ソメイヨシノの基本データ
【分類】 バラ科 サクラ属
落葉広葉 高木
【学名】 Purunus × yedoensis
【別名】 ヨシノザクラ
【成長】 早い
【移植】 難しい(幼木は簡単)
【高さ】 10m~15m
【用途】 花木/公園/街路樹/シンボルツリー
【値段】 1000円~