庭木図鑑 植木ペディア > センダン
センダン/せんだん/栴檀
chinaberry
【センダンとは】
・暖地の海岸沿いや山地に自生するセンダン科の落葉樹。自生地は諸説あるが、伊豆半島あるいは四国以西と考えられている。トネリコに似た涼しげな枝葉が良好な緑陰を作ることから、校庭や並木に使われることが多い。日本以外では中国大陸や台湾に分布する。
・初夏(5月頃)に咲く薄紫色の花はたいへん美しく、香りも良い。花は10本の雄しべが合わさって紫色の筒状になる。一つひとつの花は小さいがまとまって咲くため、花期には木全体が薄紫色に見えるほどになる。
・9~10月ごろに熟すクリーム色の大きな実は、枝先に鈴なりにでき、遠目からも目立つ。その姿は数珠がたくさんあるように見えるため、「千珠」と呼ばれ、それが変化してセンダンとなった。自然環境であれば落下した実から発芽する確率は高い。
・実は落葉後も枝に残り、ヒヨドリなどの野鳥は好んでこれを食べるが、人間の食用とはならない。個人差はあるが、実を五つ以上食べると嘔吐、腹痛、胃炎、呼吸停止を引き起こす。実(苦練子)は民間薬に使われ、整腸、鎮痛、あかぎれ、ひびわれに使われ、種子は数珠になる。
・「栴檀は双葉より芳し」(センダンは苗の段階から良い香りがするように、才覚のある人物は幼少時からそれを発揮するという意味)で知られるが、本来これは熱帯アジア産のビャクダン(白檀)を語ったもの。センダンの枝葉や材には香りがない。
・幹は直立し、樹高は15~30mほどになり、成長に伴って樹皮は縦に裂ける。樹皮(苦練皮くれんぴ)はお腹の虫除け、茎葉は農業用の殺虫に、材は建材や器具材、象嵌などとして使われる。また、最近では犬猫の健康補助食品としてセンダンの葉のエキスが売られている。
・枕草子においても花の趣が称賛されているが、魔除けの霊力があるセンダンの木が罪人の恨みを消し去るとして、かつて獄門のさらし首用にこの材を使ったという言い伝えもあり、忌み嫌う人もいる。
【育て方のポイント】
・自生地は温暖な沿海の山地が多いが、宮城県以南であれば植栽はできる。
・日向であれば土質を問わず丈夫に育ち、花や実をつけるが、花はたいてい高い場所に咲き、観察しづらい。
・剪定は好まず、自然樹形をいかすのがよい。成長が早く、太い枝を真横あるいは斜上させるのが特徴であり、一般家庭の庭木としては余り向いていない。
【センダンの品種・似ている木】
・シロバナセンダン(白花栴檀)
ごく稀に見られる白い花が咲く品種
・斑入りセンダン
葉に白い模様が入る品種
・トウセンダン(唐栴檀)
中国を原産とするセンダンの仲間。木の雰囲気はよく似るが、画像のように葉の縁にギザギザがないこと、果実がセンダンより大きく(直径3センチ弱)なることなどで見分けられる。漢方ではこの果実を「川楝子(せんれんし)」と呼び、鎮痛や駆虫に使う。
センダンの基本データ
【分類】センダン科/センダン属
落葉広葉/高木
【学名】Melia azedarach
【別名】オウチ/オオチ/アフチ
アミノキ/金鈴子
【成長】かなり早い
【移植】困難
【高さ】7m~30m
【用途】街路樹/公園
【値段】2000円~