庭木図鑑 植木ペディア > サツキ
サツキ/さつき/皐月
Azalea
【サツキとは】
・関東西南部より西の本州~九州(屋久島含む)に分布するツツジ科ツツジ属の常緑低木。サツキは日本で最も多く植えられている庭木であり公園や街路、盆栽等に多用される。
・「サツキとツツジの違いは?」と話題になりやすいが、サツキはツツジの一種であり、本来はサツキツツジと呼ぶのが正しい。
・自生は太平洋側の深山にある渓流の川岸や岩場。増水によって水を被るような場所に根を張って育ち、水流によって折れた枝や、流出した根の一部が新たな株を作る。サツキが植木や盆栽として広く栽培されるのは、この丈夫な性質によるところが大きい。
・剪定や移植にも強くて扱いやすいため、園芸用として人気が高まり、栽培のブームが起きた江戸時代にはツツジと区別されるようになった。サツキは海外にも普及しており、オランダでは1682年以前から栽培されている記録がある。
・サツキという名前は、陰暦の5月(現在の6月頃)に開花することによる。ただし実際の開花は新枝が伸びきった5~7月で、地方や環境、品種による。ツツジの仲間では最も遅く咲き、開花期間は長め。
・サツキの葉は楕円形で両端が尖り 縁には細かなギザギザがある。両面とも褐色の毛をまばらに生じるが、表面はやや光沢がある。ヤマツツジの葉に似るが、サツキはより硬質で、裏面にも艶のある点が異なる。
・葉の大きさは季節や品種によって様々で、園芸上は「丸葉」「大葉」「小葉」などと区別することもある。原種の葉は長さ1~4センチほどでツツジよりも小さい。常緑性だが秋には赤紫色に紅葉し、寒気が強いと冬季に葉を全て落とす半常緑の性質を持つ。
・枝は株元から多数分岐して横に広がり、自然樹形は半球状になる。小さな葉や細い枝が密生する。
・花は漏斗型で枝先に1輪ずつ(稀に2輪)咲き、花冠の直径は3.5~5センチほどになる。ツツジの仲間としては小さめだが、品種によっては直径10センチ近いものもある。
・基本種の花色はオレンジに近い紅色あるいは紅紫で、内側上方に斑点模様が入る。街路樹として植えられるサツキは原種かそれに近い品種。花先は五つに裂け、それぞれの裂片は丸みを帯びる。
・別名の「杜鵑花(トケンカ)」は、明け方まで鳴き続けた杜鵑(ホトトギス)が喉を傷めて血を吐き、その血が垂れて花を染めたという中国の古い詩に由来する。しかしサツキは日本産であり、杜鵑花は誤用とされる。
・花の中央には1本の雌しべと5本(稀に10本近く)の雄しべがある。雌しべ(花柱)は無毛で、雄しべの葯は黒紫色。
・花の後には乾いた長楕円形の果実がみのり、秋になると自然に裂けて多数の種子を放出する。果実は直径6~12ミリで、褐色の剛毛がある。種子を蒔けば増えるが、より容易な挿し木による繁殖が多い。
【サツキの育て方のポイント】
・渓流沿いの岩場や砂交じりの礫土に自生し、鹿沼土に代表される弱酸性の土を好むが、あまり土質を選ばず丈夫に育つ。排水性と保水性のよい腐植質に富んだ土壌であればベスト。
・耐寒性が高く北海道南部~九州に植栽できるが、冬の寒風は苦手であり、地域によっては冬季に葉の一部を落とす半落葉性になる。
・日向を好むが半日陰程度なら生育可能。自生は湿地だが乾燥にも耐える。
・芽を出す力が強く、剪定によく耐える。剪定の適期は花の直後。8月~5月に剪定すると花が咲かない。
・病害虫には意外に強いが、環境によってはツツジグンバイムシ、ハダニ(アカダニ)が多発して葉に白点が入ることもある。また、チャハマキムシ、シンクイムシ、ルリチョウレンジバチなどによる被害も見られる。
【サツキの園芸品種】
・園芸品種は2000種以上とされるが、多くは近縁のマルバサツキ、クルメツツジや洋種のアザレアとの交配種。花の色はピンク、紫に近いピンク、白、咲き分け、絞り模様など。八重咲きの品種もある。
・最も流通量の多い品種はオオサカズキ(大盃)。他にギョウテン(暁天)、マツカガミ(松鏡)、チョウジュホウ(長寿宝)、ジュコウ(寿光)、セイダイ(聖代)、キンザイ(金采)、コウザン(晃山)、ヤタノカガミ(八咫鏡)など多数ある。
【サツキに似た木】
サツキの基本データ
【分類】ツツジ科/ツツジ属
常緑広葉/低木
【漢字】皐月/五月/杜鵑花
【別名】サツキツツジ/トケンカ
サツマツツジ
【学名】Rhododendron
indicum sweet
【英名】Azalea
【成長】遅い
【移植】簡単
【高さ】0.5m~1m
【用途】公園/盆栽/花材
【値段】400円~