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ツリフネソウ/つりふねそう/釣船草
【ツリフネソウとは】
・北海道~九州に分布するツリフネソウ科の一年草で、山麓の湿地や小川の縁に自生する。花の様子が、吊り下げられた帆掛け船に似ているとしてツリフネソウ(吊舟草/釣船草)と名付けられた。黄色の花が咲くキツリフネに対し、本種を特にムラサキツリフネという場合もある。
・ツリフネソウの仲間は世界に400種類ほどが知られ、日本には3種類が自生する。園芸植物として身近なホウセンカやインパチェンス(アフリカホウセンカ)もこの仲間。
・柔らかな茎は断面が円く、節々は膨らんで枝分かれが多い。葉は長さ6~15センチ、幅3~7センチの菱形に近い卵形で、茎から互い違いに生じる。草全体に有毒物質のヘリナル酸を含み、食用にはならず、誤って食べれば嘔吐、下痢、胃腸炎を引き起こす。
・花期になると茎の先端に、長さ3~4センチほどの花が数輪ずつぶら下がる。花は見る方向によって印象が変わり、形が分かりにくいが、後方はクルリと巻いていて、中にたくさんの蜜が入っている。上記のとおり毒性があるため蜜を吸うのは危険だが、マルハナバチは中に入り込んで蜜を吸う。
・花言葉は「私に触らないでください」などだが、熟した果実は長さ1~2センチで薄い果皮があり、ホウセンカと同じように、指で触れると中から種が飛び出す。ツリフネソウは一年草だが、こうした性質が奏功して、どんどん増える。
【開花季節】
・8~10月
【花の色など】
・紅紫色
【背丈】
・40~80cm
【ツリフネソウの品種】
・ゲンペイツリフネソウ
花がピンクと白の二色になる園芸品種
・キツリフネ
黄色い花を咲かせる品種で背丈が高くなる。より標高の高い高原の湿原などに自生する。
・ハガクレツリフネ
名前のとおり葉に隠れるように淡い紫色の花が咲く。