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ヌルデ/ぬるで/白膠木
Sumac tree
【ヌルデとは】
・日本全国に分布するウルシ科の落葉樹。山間の林縁に自生するが丈夫な性質と高い繁殖力を持つため、工事後の法面や樹木が伐採された明るい更地等でも、他の樹木に先駆けて早々に芽を出す。日本以外では中国、朝鮮半島、インド、インドシナなどアジアの広域に見られる。
・幹を傷付けることで採取される樹液は白く、これを器などの塗料として使ったことからヌルデと名付けられた。
・同類のウルシほど鮮やかではないものの、秋に紅葉し、かつては「ぬるでのもみじ」と呼ばれた。葉は複数の小葉が集まって羽根状になるが、葉軸(茎)にヒレのような「翼」があるため他と容易に区別できる。
・ヌルデの開花は89月。枝先にフワフワした円錐状の花を咲かせ、遠目にもよく目立つ。色はクリーム色で、花一輪の直径は5ミリ程度。雌雄異株。
・10月ごろに熟す果実は直径3ミリほどのオレンジ色で、納豆のように大量に垂れ下がるのが特徴。表面に吹く白い粉(リンゴ酸カルシウム)は塩味で、戦時中は塩の代用にされたという。現代においてはヒヨドリ、シジュウカラ、ヤマドリ、アオゲラ、イカル、ショウビタキ、ツグミなどの多数の野鳥がこれを目当てに集う。
・葉にヌルデシロアブラムシ(ヌルデノミミフシアブラムシ)が寄生して「虫こぶ(=五倍子)」を作ることがある。虫こぶにはタンニンが多量に含まれ、貴重な天然塗料として、お歯黒や染料、皮なめしに使われ、粉末にしたものは漢方薬や化粧水の原料として使われる。ただし、ヌルデの五倍子は良質だが量が少なくて効果であったため、一般庶民はより安価なキブシをお歯黒に用いたという。
・ヌルデは農村の習俗に深く根ざし、地方によっては小正月になると門、畑、神棚などにヌルデの枝で作った飾り(祝木、かゆかき棒、粟穂稗穂、成木責などという)を祭った。また、寺院でたく護摩木にもヌルデを使うことが多かった。
【ヌルデの育て方のポイント】
・日向であれば、場所を選ばずに育つが、コンクリートの合間から顔を出す雑草のような樹木であり、意図して庭に植えることは稀。
・剪定も不可能ではないが、枝の出方は粗く、樹形はまとめにくい。
・ウルシのように枝葉に触れただけで皮膚がかぶれることはほとんどないが、上記の「虫こぶ」に触れると、かぶれることが多い。皮膚の敏感な人は多少注意が必要。
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ヌルデの基本データ
【分類】ウルシ科 ウルシ属
落葉広葉 小高木
【漢字】白膠木(ぬるで)
【別名】フシノキ
【学名】Rhus javanica
var.roxburghii
【英名】Sumac tree
【成長】かなり早い
【移植】簡単
【高さ】5m~10m
【用途】雑木
【値段】800円~